第2話 訪日前夜!!
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はショッカーを正義と信じて疑わない……いわば模範的な人民だ。いや、模範的過ぎて寧ろ、不気味なくらいだ。
ショッカーこそ、至高。
大首領こそ、神聖。
奴の頭の中ではきっとそんな"御託"が渦巻いているに違いない。
もし、千堂がショッカーが征服前に破壊工作を行っていたことを知ったらどう思うだろうか。
それでも変わらず、忠誠心を持ち続けることができるだろうか。それともショッカーを『悪』と見做して戦いを挑んでくるのだろうか。あるいは仕えるべき存在を見失い、自暴自棄に陥って自害するかもしれない。
まぁ、どちらにせよ、千堂という男の正義観が分かった。
はっきり言って教条的かつ夢想的。
征服前の、いわゆる旧世界を知っているブラック将軍に言わせれば日本世界がショッカーの威光を目にしただけで何かが変わるなど幻想に過ぎない。そんなに単純ではないことを分かっていた。
日本世界や帝国世界の人々、とりわけ権力者達の目から見れば彼は『思い上がりの激しい独善家』ぐらいにしか映らないだろう。
だがその独善主義も聞いていて、僅かながら妙な説得感があった。千堂の自身有りげな表情といい、身振りといい、その場で見聞きしていた者にしか分からない妙な説得感だ。
第4世代の風格とでも言うべきだろうか。
さらに注目すべきは彼自身。決して曲がらない信念を持ち、それを以て自分自身すら厳格に律している。
幾ら、このショッカー世界が実力主義的だろうと信念の無い者は総じて無能。いざという時に使い物にならず、ただ上からの指示を待つことしかできないので信用できない。
その点、この千堂という男は多少、思想面が盲目的なところに目を瞑れば非常に優秀な人的資源である。地位も名声も欲さず、ただ『正しさ』のみを求める。
おまけに奴の怪人態に関しては第4世代トップクラスの強さを誇る。
指導者や体制に対する絶対的な忠誠か……。
まるで一昔前の自分だな。
千堂の姿が、ブラック将軍にはゲルダム団入団前のロシア帝国将軍時代の自分自身と重なって見えた。
あの頃の自分は皇帝を信じて疑わず、皇帝の為なら命を捨てることも厭わなかった。
帝政が崩壊するまではそれが当たり前だった……今となっては懐かしい過去に過ぎないが。
誰もいない会議室でブラック将軍は鼻で笑った。
だがそこには何処か懐かしさや嬉しさがあった。
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