最終章:無限の可能性
第267話「神界を穿つ」
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
悩んでいるのか、一度明らかにした方が目の前の事に集中できるわよ。司、貴女は何に悩んでいるの?』
「(私が、悩んでいる事……)」
人を止める事……否。
今は敵として戦っている“天使”になる事……否。
優輝との関係の変化……否。
それらの、どれもが違う。
無関係とまではいかないが、肝心な部分そのものではないと、心が断じる。
「(……そうだ。優輝君と、一緒にいられるか……)」
人を止める事も、優輝との関係の変化も、それに帰結する。
前世と違い、女性になってから司は優輝を異性として好きになった。
だからこそ、一緒にいたいと、そう心から思っていた。
だが、これからの未来、ずっと一緒にいられるのかと、疑問に思ったのだ。
「(人を止める事も、そんなのおまけでしかなかった)」
転生や神界での戦いを経験したからこそ、肉体だけが全てではないと理解している。
その上で、ずっと大好きな優輝と共にいられるのかと、不安になったのだ。
そこに、人を止めるかどうかなど、関係なかった。
単に、未来も自分は彼の傍にいられるのかと、漠然とした不安に駆られただけだ。
「(……悩む必要なんてなかったんだ。そんなの、私の“意志”次第なんだから)」
優輝が好きだからこその不安だった。
彼が好きだから、こうして悩んでいたのだ。
司が乗り越えたとはいえ、まだ心の弱い部分があっただけなのだ。
……だから、後はそれを克服すればいいだけの話。
『……いい表情になったわね。もう、心配はいらないかしら?』
「『うん。ありがとう優奈ちゃん。気づかせてくれて』」
『さぁ、どうかしら?気づけたのは貴女自身の力よ』
念話でおどけて見せる優奈だが、司は確信していた。
わざと、自分がこの心に気づけるように誘導していたのだと。
「……よし」
“祈り”の制御はそのままに、司は気合を入れ直す。
同時に、司自身の“祈り”が棘となって周囲の“天使”を貫く。
「天巫女は、祈りを現実にする。……その感情が、正であろうと、負であろうと。だから、自分の感情がコントロールできるなら……!」
司の制御する“祈り”が厄介なのだろう。
捨て身で司を倒そうと、“天使”達が突貫してきた。
「ッ!?なっ……!?」
「私への妨害を、拒絶するッ!!」
その“天使”達を、障壁で完全に阻む。
単なる祈りの障壁ではなく、拒絶の“意志”を込めた障壁だ。
負の感情をを利用したその障壁は、攻撃を受け止めるのではなく、弾いた。
「ふっ!」
さらに、その障壁が攻撃へと転じる。
まさに圧殺と言わんばかりに、障壁は“天使”を押し出し、潰した。
「無駄だよ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ