最終章:無限の可能性
第267話「神界を穿つ」
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る。
今の状況は、完全に椿達のペースに乗せられていた。
「さぁ、私達の土俵に降りてきなさい。わかりやすく、白兵戦で決着をつけようじゃない。概念や事象の操作なんて、無粋よ」
不敵に笑う椿に、敵は苦虫を噛み潰したような表情で攻め込む。
本来なら、“性質”に伴った理不尽な攻撃が椿達を襲うはずだったのだ。
それが、この世界の法則に引きずり込まれ、こうして物理的な戦闘で決着をつける事しか出来ないようになっていた。
「(……こっちも、余程じゃない限りもう大丈夫だね)」
そんな様子を見て、司は安心したように目の前の事に意識を向ける。
そこには、途轍もない程圧縮された、世界全ての“祈り”があった。
「……ジュエルシード……ううん、プリエール・グレーヌがなかったら、制御出来ないねこれは……。アンラ・マンユもそうだけど、世界全ての感情や意志を集束させたモノって、ここまでやばいんだ……」
現在、司は全てのプリエール・グレーヌと共に淡い光に包まれている。
天巫女としての力を最大限使いつつ、目の前の“祈り”を制御しているのだ。
「(祈梨さんの方が確実。……でも、人間である私がやるべき……か)」
世界中の“祈り”を集束させるのは、祈梨にも可能だ。
むしろ、天巫女として最強である祈梨の方が確実と言える。
しかし、それではダメだと、優奈と祈梨が却下した。
「(理力を使う祈梨さんだと、神界で待ち構えている神に気づかれるから……だと思ったけど、既にこっちで感づかれている時点で、向こうにも知られるよね)」
その理由を、司は知らされていない。
いくつか仮説を考えたが、どれもピンと来なかった。
「(私と祈梨さんの違い。それは、人と神界の神に成り上がった元人間。理力の有無が関係している?それとも―――)」
『司!一人抜けたわ!』
「ッ!」
優奈の念話に、司は目の前に意識を戻す。
同時に、肉薄してきた“天使”をノーモーションで吹き飛ばした。
“祈り”の一端を開放し、理力の障壁ごと弾き飛ばしたのだ。
それだけで、司は深追いしない。
後は優奈達が倒してくれるからだ。
「(……そっか、“領域”が違うからだ。祈梨さんは、元人間とはいえもう神界の神。その“性質”を根本から変える事は出来ない。元人間だから例外かもしれないけど、今も人間である私と比べると……)」
“領域”の違い。それが司が選ばれた理由だった。
人間の“領域”は不定形であり、だからこそ神界の存在に打ち勝てる。
そんな人々の“祈り”なのだから、制御するのも人間である司がやるべきだったのだと、司は確信した。
『半分正解よ、司』
「『優奈ちゃん?もしかして今の……』」
『表情を
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