第一章
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頑固親父と茶色猫
山中元次は八十になってもまだ働いている、白髪で厳めしい細面で髪の毛の量は多いが色は真っ白になっている。
背は一六八位で背筋はしっかりしている、その彼に孫の雄馬は言った。
「祖父ちゃんまだ働くんだな」
「ああ、人間動ける限りはな」
元次は大学生の孫に真面目な顔で答えた、髪の毛を今風に茶色にしていてちゃらちゃらとした感じの自分より背の高い彼に。
「働かないとな」
「そうなんだな」
「お前もそうだろ」
「アルバイトか?」
「いつも大学が終わったら言ってるな」
「それはあれだよ」
孫は祖父にこう答えた。
「俺遊ぶお金欲しいからさ」
「それでか」
「居酒屋でな」
「遊ぶよりそっちにいる方がずっと多いな」
「バイト代よくてさ、やってみると性に合ってて」
それでというのだ。
「遊ぶ金稼いでるけどさ」
「それ以上にだな」
「バイトしてる方が多いな、動けるならな」
それならというのだ。
「金稼ぎたいしさ、性にも合ってるし」
「そういうことだ、俺もな」
「動けるからか」
「動けるならな」
それならというのだ。
「ずっとだ」
「そういうことなんだな」
「そうだ、わかったな」
「ああ、そういうことなんだな」
「だから今日もな」
「仕事行くんだな」
「動けるからな」
こう言ってだ、祖父は家を出ようとすると。
そこに家の猫であるチャ、茶色の毛で腹が白いトラ猫が来てだった、家を出ようとする彼にちょこんと座って鳴いてきた。
「ニャア」
「またこいつ来たか」
「ああ、そうだね」
孫は祖父に応えた、猫は彼の横に来ていた。
「チャまた祖父ちゃん送りに来たよ」
「全く、何でなんだ」
「何でって家族だからだろ」
孫の返事は素気なかった。
「行ってらっしゃいって言ってるんだよ」
「帰ってきてもだしな」
「絶対に迎えに来るよな」
「玄関までな、俺は挨拶しないがな」
「というか祖父ちゃん不愛想だからな」
「昔からだ」
不愛想なことはというのだ。
「それはな」
「俺が生まれる前からか」
「ああ、ずっと昔からな」
「って親父が生まれる前からか」
「祖母さんと一緒になる前からな」
「ってことは五十年前からか」
「高校の時からだ」
もうその時にはというのだ。
「こうだった」
「そうなんだな」
「だからもう変わるか」
不愛想なことはというのだ。
「俺はずっとこのままだったからな」
「これからもか」
「そうだ、じゃあ行くな」
こう言ってだった、祖父は仕事に出た。チャは彼が家を後にすると立ち上がって居間に行ってそこでくつろいだ。
チャは祖父が帰ると迎えて出ると送った、いつもそうしていて。
家でも彼の
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