第四百四十三話 恐怖の克服その四
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「もう一人です」
「煉遠さんだね」
「はい、あの女が炎の型を出せる様になれば」
「もっと頼りになるね」
「型があればですが」
「若しあればだね」
「その時はです」
本願寺に答えて述べた。
「今も確かな戦力ですがその今よりも遥かにです」
「素晴らしい戦力になってくれるね」
「そうなります」
「そうだね、けれどね」
「型はですか」
「わからないんだよね」
「あの女の場合あるかどうか」
「そうだね、それに」
本願寺はさらに話した。
「あの娘は今もね」
「トラウマですね」
「そのこともあるしね」
「何かと難しいですか」
「まだ紅麗君を怖がっているから」
だからだというのだ。
「どうしてもね」
「問題ですね」
「どうだろうね、彼女は烈火君や紅麗君と違って無理は出来ないよ」
「同じ炎術士でも」
「どうしてもね」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
「あの娘は無理をさせないで」
「そうしてですか」
「やっていこうね」
「わかりました、ですが」
音遠は本願寺の考えを聞いて彼に言った。
「本願寺さんは優しい方ですね」
「そうかな」
「あの女のことをそこまで気遣われるとは」
「いや、実際にね」
「実際にですか」
「無理は出来ないからね」
煉蓮、彼女はというのだ。
「そうしたタイプだからね」
「言われますか」
「現に僕は他の皆にはどんどんと言っているね」
「はい、確かに」
音遠もその通りだと頷いた。
「そのことは」
「皆無理が出来るからね、特に泊ちゃんはね」
「あの人はですか」
「烈火君や紅麗君以上に無理が出来るから」
それでというのだ。
「僕もどんどんって言うよ」
「そうですか」
「けれどね」
「あの女は違うからですか」
「こう言うんだ」
無理はするな、と言うというのだ。
「そうね」
「その人それぞれですか」
「誰もが同じじゃないからね、人間は」
「では私が無理出来ないなら」
「無理しないでって言うよ、それであの娘はこれからもね」
「無理はしないで、ですか」
「やってもらうよ」
本願寺の言葉は変わらなかった。
「これからもね、あと訓練もね」
「これからもですね」
「やっていこうね」
「わかりました、それでは」
「汗をかいていこうね」
本願寺は穏健な笑顔のまま話した、そしてだった。
戦士達は訓練を続けていた、その間煉蓮は紅麗を必死に避けて見ようともしなかった。会うと逃げて隅で震えた。
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