序章
【序章】 VSビッグボス
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を拾い上げようとする。
「させるかぁ!」
ビッグボスは素早く動き、スケッチブックを蹴り上げた。スケッチブックはビッグボスの頭上に飛ばされてしまう。
「いいか、凛香! おまえのせいで、住之江幼稚園が暗くなるんだ! おまえが幼稚園を暗くしてんだ! しめっぽくなって、しんきくさくなるんだ! そのせいで、俺様のところに苦情がきてんだよ! 凛香をどうにかしてくださいってなぁ、たくさんの奴らがなぁ、俺様に言ってくるんだよなぁ!」
ビッグボスは飛び上がり、蹴り上げたスケッチブックをキャッチしようとする。
「なので俺様がおまえに、判決を下す! 凛香! おまえは、大事なスケッチブックを取り上げられるの刑に処すぅ!」
ビッグボスの手がスケッチブックに届く……寸前に、ビッグボスは、背中から誰かに抱きつかれた。
「うあッ! な、なにすんだよ、おまえ!」
ビッグボスの背中には、女の子がぴったりと張り付いている。
「乙女のクソ力ぁぁぁあああッ!」
女の子は歯を食いしばり、宙にいる状態で、身体をブリッジさせる。
「うわわわッ! やめろぉ! やめろってばぁ!」
うろたえるビッグボスを背中から抱きしめながら、女の子は後方に向かって、背中を思い切り反らした。
「やめろぉ! やめろよおおおぉぉぉ……」
“どずずぅぅうううん”
ビッグボスの後頭部が、地面に打ちつけられた。
女の子は見事すぎるほどに美しい、バックドロップを披露した。
“ずずううん”
ビッグボスの巨体は、地面に力なく沈んだ。
渾身のバックドロップを喰らったビッグボスは、白目を剥き、ぴくりとも動かない。
「うわわわわわぁ! せ、せんせぇぇぇい!」
男の子達は泣き叫びながら、先生を呼びに走った。
女の子は地面に落とされたスケッチブックを拾い上げ、手で砂を払い、ぎゅううと抱きしめる。
スケッチブックには“凛香超人マッスル大全”と書かれていた。
「人の大事なものを取り上げるような悪は、必ず滅び去るの!」
女の子は決めポーズをとり、ビッグボスに向かって言い放つ。
「へのつっぱりはご遠慮願いマッスル! マッスル守護天使、キン肉マンルージュ!」
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