第弐話「環の気持ち」
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
人に挟まれてしまったタマキに逃げ道は……無い。
観念したタマキは、ぽつりと呟いた。
「その……烈火中隊長」
「「……へ?」」
「だから、烈火中隊長。……もう、二回も言わせないでよ」
「「……えぇぇぇぇぇ!?」」
タマキから返ってきた意外な答えに、2人は思わず席を立ち上がる。
「まさかの烈火中隊長!?」
「あの、中隊長で一番熱苦しい……いえ、熱血漢の烈火 星宮中隊長ですか?」
「そんなに驚く事ないじゃん……」
「いやー、意外だったもんでつい……」
突然の大声に驚く周囲に頭を下げつつ、シオンは席に座り直した。
「烈火中隊長のどんな所が好きなの?」
「そりゃあ、誰よりも熱いところがかっこよくて〜、優しくて、いつも笑顔なところ……かなぁ」
「なるほど〜。環さんは熱血系が好みなんですね〜」
「皆は熱苦しいなんて言うけど、烈火中隊長の何事にも全力で挑んでいく熱意、私は憧れちゃうなぁ……」
両手で頬杖をつきながら語るタマキを見て、シオンは確信する。
(あ〜……これ、ガチなやつだ。こりゃ噂は噂止まりって事かぁ……)
思いのほかお熱らしいその姿に、先程まで勝手に盛り上がっていた自分がバカらしく思えてしまう。
だが、そんな考えはものの3秒で切り替わった。
何故ならシオンは……かなりの恋愛脳なのである。
(まあでも、ここから狛司くんとの三角関係に発展するとか、まだまだ余裕で有り得るし?恋愛への興味関心の観点から見れば、狛司くんの方が望みありそうだし──これは見応えのあるレースになりそうね〜」
「慈温先輩?何か言いました?」
「へっ?ううん、何でも!」
「ん〜、やっぱりパンにもヨーグルトにも、イチゴジャムが一番ですね〜」
思わず漏れていた心の声を誤魔化すシオン。
首を傾げるタマキに、黙々と昼食を食べ進めるヒータ。
そんな3人の元に近づく足音。
噂の主は、大盛りの白米を手に現れた。
「おっ、何だ何だ?女子会ってやつか〜?」
「れ、烈火中隊長!?」
「ありゃ、噂をすればなんとやら……」
「こんにちは、烈火中隊長。お昼、今からですか〜?」
「おうッ!組手の後の飯は、最ッ高に美味いからなッ☆」
噂の当人、烈火 星宮はいつもと変わらぬキラッとした笑顔を向けてくる。
手にしたお膳には山盛りの白米に、キャベツの千切りと大量の揚げ物が盛られていた。
「これ全部食べるんですか!?」
「勿論だ!やっぱ米には肉と揚げ物だぜッ☆」
「だからって、取り過ぎないでくださいよ?」
と、その後ろから声をかけたのは、同じく噂の当人だった。
「そう堅い事言うなよ狛司〜!俺だってまだまだ食べ盛りなんだぜッ!せいッ☆」
「ちょっと興梠!?なんであんたが烈火中隊長と一
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ