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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
☆そこがどこだって僕とお栄ちゃんはいつも通りの話。
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がいがある。」
「そっか。」

お栄ちゃんの描いた絵に目を移す。
素人には真似出来ないクオリティ。
見た者をとことん虜にする絵の力強さ。
ダイナミック、かと思えば細かく見ればそこには繊細な筆使い。
生涯を絵に尽くしてきた人の作品だ。そんじょそこらの人とはわけが違う。

「マイもどうだい?そろそろ絵一本でやってみたら。」
「うん…でもね…。」

僕は姫路町のbarで働いてる。
お給料もいいし、何せ店長もお客さんもみんな優しい。
辞めようにも中々辞められない。
それとお栄ちゃんは父様と同じく、お金に執着しないタイプの人だ。
仕事を請け負うのも格安だし、なんならタダ同然で描いたりすることもある。
つまり、あんまりお金にならない。
だから僕が稼がなきゃいけない。それも辞められない理由の一つだ。

「それに僕が描いたところでお栄ちゃんやとと様には…。」

かなわないよ。
そう言ったところで彼女の人差し指が僕の唇に当てられる。

「…?」
「なぁに昔のお前さんみたいなこと言ってんだ。マイの絵にはマイの良さがある。上手い下手関係ねぇ。それにとと様もマイの絵の腕前はタダモンじゃねぇって言ってたろ?」
「うん…でも…。」
「でもも何もねぇ!さ、飯にしよう!」

お栄ちゃんはそのまま台所へと向かう。
昔の僕…か。
何事に対しても自信が持てなくて、どうせ自分なんかととことんネガティブだったあの時の僕。

「…。」

うん。この話題はやめにしてご飯食べよう。
お栄ちゃんがいたからこそ、僕は変われた。
そして

「キミがいたから…僕は今を、僕らしく生きられるんだ。」

昔に撮った写真に映る彼を見てそう呟く。
さて、ご飯にしよう

?

「お栄ちゃん、ご飯食べなかったの?」

献立をちゃぶ台に並べていき、ご飯をよそる僕。
僕の仕事は夜遅くまでやる。
なのでご飯は作り置きしておき、食べるように言ってはあるのだが。

「ああ、絵に集中してる内に日が変わっちまったなんてナ。マイが帰ってくるまで全く分からなかった。」

彼女はよく、絵に集中し過ぎて食べないことがある。
多分ほっぽっといたら一日中描いてるんじゃないかと思うくらいに。
サーヴァントは本来食事を摂る必要なんてないけど、やっぱり精神的に食べたい時はあるみたいだし美味しいものなら食べる。

「おれはマイと食べたい。折角作ってくれたんだ。二人で揃って食べて美味いって伝えたいだろ。」
「うん…それはそうだけど。」

二人で食べたい気持ちはまぁ分かる。
でも、無理はしないで欲しいしわざわざ僕を待たなくてもいいのにと思う。
そうして、二人で話しながらご飯を食べ、

「はー、今日も美味かったナ!ごちそうさん。」

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