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水の国の王は転生者
第六十七話 ヒューロ−湖畔の戦い・後編
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失い、一瞬の隙を見せた。
 瞬間、サンダーバードの正面前方の湖面が20メイルに亘って凍り付くと、数百もの氷の槍がサンダーバードに向かって伸びてきた。

『アイス・パイク』

 マクシミリアンの即興で唱えた魔法に、隙を付かれたサンダーバードは、避ける間もなく氷の槍に突っ込み、串刺しになった。

『クウウッ……』

 串刺しになったサンダーバードは、弱々しく鳴いていた。
 だが、完全に戦闘不能になってもまだ生きていて、それどころか傷が再生を始めていた。

 ……

 戦闘不能になったサンダーバードは、『アイス・パイク』に串刺しにされながらも、その闘志を鈍らせる事は無かった。

 一方、ヌーベルトリステイン陣地とは別の湖岸では、一人の男がサンダーバードに照準を向けていた。

「……」

 男の名はコマンド隊のジャックで、潜入任務を切りの良いところで終えると、獣の群れから離れ、付かず離れず獣達を監視しては、その動向をウォーター・ビットで報告したり、指揮官らしき亜人を狙撃したりしていた。

 先ほどマクシミリアンに連絡を送ったのはジャックだった。
 辺りの草を全身に貼り付けて即席のギリースーツにしたジャックは、ウォーター・ビットをスポッターにして、周辺の各データを取り、待ち構えていた。

 愛用のウィンチェスターM60が、パイクの串刺しから逃れようとするサンダーバードを捉える。

「……」

  ウォーター・ボールから送られてきた風向きからサンダーバード周辺の気温湿度までの全てを、頭の中に叩き込み、無言のまま機械の様に引き金を引いた。

 ……タァン。

 一発の銃声が鳴り響き、吸い込まれる様に銃弾はサンダーバードの頭を撃ち抜いた。

「……」

 ジャックは排莢された薬莢の空を回収し、周辺に気を張り、敵が居ない事を確かめる。
 ウォーター・ビットからの情報でも敵の存在は確認できなかった。
 念の為、狙撃ポイントから離れようとすると、ウォーター・ビットから通信が届いた。
 差出人はマクシミリアンで、曰く……

『ビューティフォー』

 と、だけ書かれていた

「びゅーてぃふぉー?」

 訳が分からないジャックは首を傾げると、その場を立ち去った。

 余談だが、この後コマンド隊において、ヘッドショットに成功すると『びゅーてぃふぉー』と言って狙撃手を称える風潮が出来たそうな。







                      ☆        ☆        ☆




 湖畔に静寂が戻った。

 マクシミリアンは、湖から飛び出るとサンダーバードの亡骸のある氷の塊に着地した。
 サンダーバードは見事に頭を撃ち抜かれ、既に死亡している
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