第四百四十二話 炎の忍達その十
[8]前話 [2]次話
「しかし母上がおられるからな」
「だからなのね」
「これからは出来る限りのことをしていく」
「あんたも親御さん大事にしているのね」
「そのつもりだ」
まさにというのだ。
「そうしている」
「ただ子供にあれこれ言われるとね」
本願寺は自分のことを苦笑いになって話した。
「こうしたものかって思うよ」
「何か凄い切実ですね」
「いや、結婚して子供が出来て結婚生活が長くなってね」
風子に応えて話を続けた。
「子供も大きくなると」
「それで、ですか」
「色々あるんだよね」
そうだというのだ。
「これがね」
「何か切実なものがありますね」
「それも結婚生活なんだよね」
「背中に哀愁が漂ってるからな、この人」
泊はその背中を見ていた。
「実際に」
「そうなのよね、これが」
霧子も本願寺の背中を見ている、そのうえでの言葉だ。
「父親、夫の哀愁ね」
「それだよな」
「これまで色々あったのね」
「そのことがわかるよな」
「そうした経験もしていって人は成長するんだ」
本願寺は今度は達観した声で話した。
「そういうものだよ」
「そうなんですね」
「人生経験ですね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「こうしたこともね」
「正直経験したくないですね」
烈火は腕を組んで述べた。
「そうしたことは」
「折角結婚してもだね」
「そんなことになることは」
「絶対に嫌だな」
土門も言うことだった。
「本当にな」
「ずっと仲良くしたいよな」
「そうだよな」
「そうよね。子供の反抗期とか」
柳もどうかという顔で述べた。
「嫌よ、夫婦親子はずっと仲良く」
「そうだよな」
「私もそう思うわ」
柳は烈火に顔を向けて彼の言葉に頷いた。
「やっぱりね」
「夫婦だとな」
「本当にね」
「確かに仲がいいことに越したことはないわね」
「そうよね」
亜希は魅希の言葉に頷いた。
「相手が誰でも」
「そうよね」
「そう言うおめえ等この前喧嘩してたよな」
藤丸は右の人差し指で鼻の先を掻きながら言った、少し見ると鼻をほじっている様だが実は違うのだ。
「何処が仲いいんだよ」
「喧嘩する程よ」
「そういうことよ」
「だからいいのよ」
「時々だとね」
「そうかよ、まあ俺は誰とも仲良くしねえけれどな」
藤丸は今度は笑って言った。
「そういうの嫌いだしな」
「この前ビールの差し入れ有り難うね」
その藤丸に葵が笑って言ってきた。
「蛭湖と綺理斗で楽しく飲んだよ」
「そんなこと気にするなよ」
「今度お礼するね」
「別にいいからな」
「何気に実は結構いい奴だよね、藤丸って」
小金井はその藤丸を見て言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ