第四百四十二話 炎の忍達その九
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「それじゃあ」
「鮟鱇鍋ですか」
「ああ、それが名物の場所の娘達もいるからな」
みほ達のことを思い出しながら話した。
「だからな」
「それで、ですか」
「それにするか」
鮟鱇鍋にというのだ。
「今晩は」
「いいね、じゃあお酒も用意しようね」
本願寺は追田のその提案に笑顔で応えた。
「鮟鱇だと日本酒だね」
「いいですね、飲みましょう」
ブレンは本願寺のその言葉に明るい表情で頷いた。
「今夜も」
「あったまりながらね」
「そうしましょう」
「よし、楽しくやりましょう」
花菱は本願寺達の提案に積極的に乗った、そうしてそのうえで煙草を口に咥えたままこんなことを言った。
「やっぱり酒もあってこそですよ」
「食べものも美味しいですよね」
「ええ、ですから」
「あの、あまり飲み過ぎは」
陽炎は花菱にどうかという顔で横から注意した。
「よくないので」
「わかっていても」
「仕方ないですね」
「そういうことで」
「あれっ、お前の父ちゃん何か」
「ああ、母ちゃんの言うことにはな」
烈火は土門に答えた。
「結構何でもな」
「そうなんだな」
「この歳ではじめて結婚したがな」
その花菱も言う。
「夫婦生活はいいものだな」
「そういえば親父結婚はじめてなんだよな」
「ずっとそこは誤魔化してたけどな」
「母ちゃんだと思っていたらアイドルだったなんてな」
「昔のな」
「というかずっと烈火君を一人で育てていたなんて」
りんなは花菱のこのことについて言及した。
「凄いですね」
「まあ一人だと寂しいですしね」
花菱は右手を頭の後ろにやって述べた。
「こいつが一緒にいて本当によかったですよ」
「そうですか」
「今じゃ三人ですしね」
烈火と陽炎を交互に見て話した。
「それで今夜も」
「楽しくですね」
「ええ、過ごします」
そうするというのだ。
「戦いはありますけれど」
「それでもですね」
「はい」
そうするというのだ。
「楽しく」
「いい親がいるっていいですよ」
詩島は花菱と彼の一家を見て真面目な顔で述べた。
「それだけで」
「ああ、あんたのところは」
「あんな奴でしたから」
その父親、蛮野天十郎のことを忌々し気に述べた。
「本当にそう思います」
「親がまともなのはそれだけで幸せってことですね」
風子も言ってきた。
「本当に」
「全くだな、私も母上がおられる」
紅麗も言ってきた。
「母上を大事にしていく、これからもな」
「あんたもそう考えているのね」
「父上はもうおられないがな」
森のことはもう親とは考えていなかった、もっともこのことは最初から心の中ではそう思っていたことだ。
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