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夢幻水滸伝
第百七十一話 統一成るその十五

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「飲もうな」
「よし、勝鬨あげたらすぐにお酒出そうな」
 中里も実に楽しそうに話した。
「そうしよな」
「今からな」
「そしてな」
「盛大に飲もうね」
「ああ、しかし綾乃ちゃん今回特に飲むやろ」
 中里は綾乃に笑いながら尋ねた。
「そうするやろ」
「この世界ではずっと飲んでなかったし」
 平城京での会議が終わりそうして一連の戦に入ってからだ、これはどの軍も全体でそうしていたことだ。
「しかも勝ったし」
「それでやな」
「そや」 
 だからだというのだ。
「思いきり飲むわ」
「それこそ記憶がなくなるまでやな」
「飲むで」
「綾乃ちゃんが記憶なくなるまで飲むって」
 中里は綾乃のその言葉にどうかという顔で述べた。
「ちょっとな」
「想像つかん?」
「酒樽全部空けるんかいな」
「ほな空けよか」
 綾乃は明るい顔と口調で返した。
「そうしよか」
「ほんまにそうするんか」
「そう考えてるわ」
「僕が今言うたからちゃうな」
「今やったら飲める気がするから」
 それでというのだ。
「もうな」
「空けるんか」
「挑戦してみるわ」
「ほんまにしたら凄いな」
「それだけ飲んだら酔い潰れるやろか」
「綾乃ちゃんでもそうなるやろ、まあとにかくな」
 中里はあらためて述べた。
「今から勝鬨あげてな」
「飲もうな」
「勝利の美酒をな」
 中里はこの時も笑顔だった、そうしてだった。
 日本軍は綾乃の言葉を受けて一斉に勝鬨をあげた、そうしてだった。
 その後は勝利の美酒を楽しんだ、今日本は太平洋と地下世界を統一した。その祝いの酒を心ゆくまで楽しんだのだった。


第百七十一話   完


                  2020・7・23
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