第百七十一話 統一成るその十
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両手の刀をそれぞれ突きで動かしつつそこから術を放ちだ、その中で。
全身に気を溜めはじめた、その中でもアレンカールはケツアルコアトルに乗り彼と共に術を放ち続けつつ突進してくる。
中里も鵺と共に術を放つ、その中で。
彼は動かなかった、そうしつつ身体に気を溜め続けてだった。
術の応酬を続けた、二人共術だけでも優に十万の軍勢を吹き飛ばせるだけのものがあった。その応酬の中でも。
中里は力を溜めてそうしてだった。
アレンカールが中里の正面にいよいよ来た、彼は両手の拳に流星を込めてそうして中里に無数の拳を打ち込まんとしてきた。
「これで終わりよ!」
「そっちがな!」
中里はそのアレンカールに両手の刀をそれぞれ繰り出した、そしてだった。
拳と刃の応酬に入った、それは互いに全く譲らない激しいものだったが。
アレンカールは拳と刃の応酬の中でだった、脚を僅かに浮かせ。
両足にも流星の力を込めて駒の様に回転する両脚の蹴りを放とうとした、拳は見せかけで脚が切り札だったのだ。
今まさにその蹴りで決着をつけんとした、だが。
中里はアレンカールが拳から蹴りに入ろうとした瞬間にだった。
「今や!」
「!!」
「喰らえっ!」
身体を思いきり前にやってだった、その全身で。
体当たりを浴びせた、そうしてアレンカールの身体を後ろに吹き飛ばし。
体勢を崩した彼に右手の童子切の一撃を浴びせた、アレンカールは吹き飛ばされる中で何とか両手を己の身体の前で交差させそこに防壁の術を使ってだった。
ぞれを守った、だがダメージと衝撃を受け。
ケツアルコアトルの背から落ちた、緑の大蛇がそれを見て主を咄嗟にだった。
己が持っている翼を落ちる身体の下にやって受け止めた、アレンカールはこれによって間一髪地上に落ちずに済んだが。
彼は翼に上に腰を落とした姿勢でこう言うしかなかった。
「やられたわ」
「負けを認めるな」
「ここで何かしようとしてもね」
それでもというのだ。
「その前にあんたに斬られて終わりよ」
「それがわかってるからやな」
「ええ、あたいの負けでね」
「終わりやな」
「そうなるわ、しかしね」
ここでだ、こうも言ったアレンカールだった。
「随分やられたわね」
「そやな」
ケツアルコアトルも言ってきた。
「それはな」
「ええ、星の子は皆一騎打ちに負けてね」
「軍勢もな」
「四割を失ったわね」
「ここまでやられたらな」
「完敗よ」
それを認めるしかないというのだ。
「ほんまにね」
「そやな」
「ではね」
「ああ、負けを認めたし」
「あたい達は戦後処理よ」
「それに入るな」
「そういうことでね」
アレンカールは中里にあらためて話した。
「あたい達は一旦領土に帰るわ」
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