第百十三話 鬼計その六
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「当家の兵の殆どです」
「これだけ出したということはか」
「ただ二本松を手に入れるだけでなく」
「そこから先もか」
「お考えでは」
こう政宗に言うのだった。
「そうでは」
「ははは、わかっておったか」
政宗は片倉の言葉に笑って返した。
「お主には」
「二本松は天然の要害であることはご承知でしたな」
「うむ」
その通りという返事だった。
「弥太郎は確かに強いがな」
「小島殿が率いる兵では」
「数が少なくてな」
それでというのだ。
「攻め落とせぬ」
「それで茂庭殿の軍勢と我等の軍勢を合わせて七千」
「それで攻める、しかしな」
「すぐにですな」
「芦名家とな」
「佐竹家もですな」
「そこに岩城家、石川家、結城家とな」
そうした家々もというのだ。
「五家がじゃ」
「共にですか」
「来る、そこまで読んでじゃ」
「七千の兵で以て戦う」
「鉄砲騎馬隊も持ってきた」
その家々と戦う為にというのだ。
「そうする」
「それでは」
「ではですな」
成実も言ってきた。
「この度は」
「芦名家そして佐竹家とな」
「奥羽を賭けた戦をしますか」
「そうする、だからな」
それでというのだ。
「二本松を手に入れるだけでなくな」
「芦名家等にも勝ちますな」
「そうする」
こう成実に話した。
「よいな」
「わかり申した」
「お主にも働いてもらう」
「それでは」
「そしてじゃ」
今度は小次郎に顔を向けて話した。
「無論じゃ」
「それがしもまた」
「兵を率いてな」92
そうしてというのだ。
「戦ってもらう」
「さすれば」
「この戦に勝たねばな」
「当家はですな」
「奥羽を握るどころかな」
それこそというのだ。
「芦名家そして佐竹家にな」
「潰されますな」
「そうなる」
まさにというのだ。
「だからじゃ」
「この戦では」
「何としても勝つ、七千の兵が全て死兵となり」
「今の畠山家の様に」
「そうなってじゃ」
「戦い」
「勝つ、わしもな」
政宗自身もというのだ。
「同じじゃ」
「刀を抜かれてですか」
「戦う」
強い言葉だった。
「ここはな」
「兄上は総大将ですが」
「確かに総大将は普通は武器は手にせぬ」
「左様ですな」
「しかしこの度は敵が多い」
「芦名家、佐竹家も来ますか」
「結城家等もな、五つの家が兵を出すのじゃ」
それだけにというのだ。
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