第百十三話 鬼計その四
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「我等には鉄砲がある」
「ご自身の父を撃たれるつもりか」
「そうだと言えばどうする」
政宗は八竹山に余裕の笑みで返した。
「一体」
「脅しか」
「わしは脅しは言わぬ」
これが政宗の返事だった。
「今はな」
「では」
「さて、どうする。降れば命までは取らぬが」
「二本松を寄越せというのか」
「左様、どうする」
「我等の領地は我等のもの」
畠山家のものだというのだ。
「誰が渡すか」
「芦名家や佐竹家の軍門に降ってもか」
「くっ・・・・・・」
「もう一度言う、降れば命までは取らぬ」
政宗は悠然として告げた。
「どうじゃ、降るか」
「降るなぞ誰がするか」
「ではここで蜂の巣になるのじゃな」
政宗がこう言うとだった、彼が率いる者達は皆鉄砲を出してすぐに弾を込めた、そうして言うのだった。
「殿、これでです」
「何時でも撃てます」
「何なりとご指示を」
「わかった、では撃て」
「待て、己の父を撃つのか」
畠山はいよいよ焦って政宗に問うた。
「わしが死んでも父親は死んでは元も子もないぞ」
「ははは、父上はここにはおられぬ」
「何っ!?」
「その者は父上に化けた忍の者よ」
「馬鹿な、その様な」
「逃げよ」
政宗がこう言うとだった。
それまで輝宗だった者は政宗の言葉に驚く畠山の傍でだった。
煙に包まれ黒装束の忍の者になった、そしてだった。
そのまま驚きあっけにとられた畠山と彼の周りの者達から逃れ猿の如く木々の中に姿を消した。政宗は驚いたままの畠山に話した。
「お主の考えわかっておったわ」
「既にか」
「そうじゃ、だからじゃ」
それ故にというのだ。
「わしは父上の影武者を立ててじゃ」
「そうしてであったか」
「お主に正門で見送らせ」
その途中で輝宗と入れ替わってというのだ。
「そしてじゃ」
「ここまで連れて来させたのか」
「わしはお主をここで捕える為にじゃ」
まさにその為にちうのだ。
「馬を用意し鉄砲も持ってきた」
「全てはお主の手の中のことか」
「そうじゃ、ではじゃ」
それならと言うのだった。
「降らぬと言ったからには容赦せぬぞ」
「このまま撃つか」
「攻めて苦しまぬ様にしてやる」
「っそいて二本松を奪うか」
「既に兵は用意してある」
「そこまでしておったか」
「そうじゃ、全てはわしの考え通りじゃ」
まさにというのだ。
「大人しくしておればこうはならなかったのう」
「無念じゃ」
「では撃て」
政宗が言うと全ての鉄砲が火を噴いた、そうして畠山は周りの者達と共に鉄砲に射抜かれて倒れた。そうしてだった。
政宗は畠山の首を本城の城下町で晒しそうして父上に話した。
「今よりです」
「爺に用意させた兵達が動いていま
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