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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
梔子とぺトリコール、紅涙
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んでいるのが見えている。窓硝子に映写している赤紫色の瞳は、やはり、爛々としていた。
「ところで、《魔剣》──ジャンヌ・ダルク30世の以後は?」
「後処理も任せて尋問科の綴先生に引き渡したわ。『こりゃ尋問しがいがあるなァ』って笑ってて……。ふふっ、割と怖かった」
アリアは人差し指で口の端を上げてみせた。「こんな感じで笑ってたのよ、怖いでしょ?」と楽しそうに告げる。確かに怖そうだ。さぞかし尋問科にお似合いな猟奇的な笑みだったのだろう。
しかし尋問科の綴と言えば尋問の天才だ。その点に於いては彼女に任せるのが最善手だろう。あとは結果を待つだけだ。司法取引の素材としても充分な価値はあるね。
「……あ、そうだ。白雪の容態はどう? 毒が心配だったけれど」
「理屈としては簡易な毒で、解毒薬を準備するにはそんな時間掛かってなかったみたいよ。今はまだ静養中。でもキンジが様子見に行ったらしいから、もう大丈夫じゃないかしら?」
「そう、特に大事にはならなくて良かった」
一連の騒動で、改めて、星伽白雪という少女の存在の、如何に《イ・ウー》にとって都合が良いかを再確認させられた。研鑽派と主戦派の両派閥、どちらに転んでもそれ相応の益があるというのは──やはり『金剛石の素』と暗喩せざるを得ない。
そうしてそれは、同時に、理子の助力があったからこそ得ることが出来た。如何に希少価値の高い情報であったかは明白だ。
ともすれば次に行うことは決まっている。新たな素材を得た今、自分にもアリアにも、どちらにしても益をもたらす結果へと繋ぐただ1つの過程が、《イ・ウー》へ近付く最短距離だ。
同時に、理子はその道を歩くにあたって忠告もしていた。『まだ手出しはされないだろうけど、気を付けてね?』と。
あれは、理子が形式上とはいえ逮捕された時の話だ。今とは全く状況が異なる。理子に次いでジャンヌまで捕らえられた、あまつ司法取引を行うことは明白だ──そんな《イ・ウー》の心境を察すれば、本当に殺されかねない。彼等彼女等の道を阻むことで。
これからは動向にも慎重さを見せた方がいいね──と、ある程度の結論を出してから、ペットボトルの中身で咽喉を潤す。あれこれと考えていた脳内も、心做しか澄んだ気がした。
「じゃあ、最後の問いね」と切り出していく。
「アドシアードは無事に終わったかい?」
「生徒会長の白雪は急病で出席不可、って扱いになったわ。その代わりに副生徒会長が上手く回してくれたから大丈夫よ」
「まぁ、困ってたのは白雪を目当てにリポートに来てた取材陣と一部の一般人くらいかしら?」そうアリアは続けた。
不満気に「美人な子が好きなのは分かるけど……」とも洩らす。苦笑しながら東京湾を見つめているその瞳が、どうにも彼女には不似合
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