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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
梔子とぺトリコール、紅涙
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なことはしない。絶対に」


黄昏時の集塊に爛々と浮かぶ、赤紫色の瞳を見据えながら──今の自分は、どうやらこの夕冷えをあの温もりで消そうと躍起になっているらしいことを、ようやく自覚した。
アリアとも自分のものとも分からない温かな体温が綯い交ぜになっていて、熱情的とも温和的ともつかない感覚を、感受した。


「約束は最後まで守るつもりだからね」


言い、自分の顔が穏和に笑んでいることだけを願いながら──或いは、その言葉の裡面に渦巻く感情をなるべく悟らせないようにすべく──磊落な調子で二の句を次いだ。


「もう少しこうしていたいところだけれど、本筋に行こうか」







病室の白色灯に降られながら、緩慢とした動作でテーブルソファの一角に腰掛ける。病院着のガウンが小さく衣擦れていた。
テーブルを挟んで向かいに座っているアリアからは、まだ、何かしらの憂慮の念は拭えていないようだった。


「調子はどうなの?」
「大丈夫、もう普通だよ。……まぁ、疲労感はあるけどね」
「……ここぞとばかりに見栄張って、無茶するからよ」


呆れたように呟いたアリアは、小さく溜息を吐いた。その動作に呼応するように、髪先がしゃらりと遊んでいる。


「まぁ、空白期間だけの副作用は覚悟していたけれど……」


「この機会だから改めて説明した方がいいね」と苦笑する。「でもその前に、ちょっとお水が欲しいかな」
アリアは小さく「あ、そっか」と呟くと、キャビネットの隣に備え置かれていた小さな冷蔵庫からペットボトルを取り出した。
受け取ろうと持ち上げた腕が心做しか重い。それでも何とか手に握りしめると、キャップを回して咽喉へ運ぶ。

それにしても普通の病室に冷蔵庫などはあったろうか。病院にはさほど世話になったことがないから分からない。ただ、広さにゆとりのある個室という点を見れば、少々優遇されているのかな、と思った。アリアが手回しでもしてくれたのだろうか。


「ありがと。なんか喉が乾いてたみたいだね」
「今朝から夕方まで寝っぱなしだからよ。原因は、先生(ドクター)は疲労だろうって言ってたわ。陰陽術のことは言わなかったから、それが原因なのかアタシには分からないけど……」
「うん、それで正解ってところかなぁ」
「何よそれ。あまり褒められた気がしないわね」


不満そうにツインテールの先を指で遊ばせながら頬を膨らませて、アリアはわざとらしく拗ねてみせた。さながら歳相応の子供のようで、それがとても愛らしく見えてくる。
そんな風をおくびにも見せず、言葉を次いだ。


「いつだったか白雪も言ってたけど、超能力者には能力の発動媒体でジャンル分けがされてるんだ。俺は、簡単に言えば体内の『氣
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