肆ノ巻
御霊
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になってんでしょうが!ああああ、かえすがえすも、本っ当にごめん、抹!どこ掘り返してもあたし、とんでもないことしかいってないしやってない気がする…!本当にごめんね…!女の人嫌いにならないでね…!それもこれも、あんたが同性だと思ってたからなのよ…!気が済まなかったら三回ぐらいなら殴ってもいいから!ほんっとごめん!」
恥ずかしすぎて思い返したくもないけど、一緒に湯殿いこうとしたり、強制的に寝所を共にしようとしたり、そりゃああたしに怯えるわ…。
「あれ、高彬のこと好きって言ってたのは…」
「え!?」
「違います!」
初耳だからか横で本気で驚いてる高彬は置いておいて、モチロン、男が男の人好きになんのもありだけど、待って、よく考えれば、何時聞いても抹死ぬほど否定してたし、二人きりにした時なに話してた…?筋トレのやりかたとか聞いてなかった…?当時は攻めるな〜ヒュウとか思ってたけど、これは、抹が男だとすると、もしや、純粋に…。
「憧れだと何度もお伝えしたではないですか!わたくしは、わたくしの力で、強くなりたくて…その理想が高彬様なのです」
つ、強く…。
「その声は…」
「幼き頃、座敷牢から叫びすぎて潰れましたので御座いまする」
「…女の格好は…」
「愚かでございましょう?少しでも関心を引けたらと考えた幼子の浅知恵でございました。全くの無意味であったのに、十何年も前からそんなことわかっておりましたのに、いつか、今日こそはわたくしを見てくださるのではないのかと無駄な希望をふりきれずずるずると来てしまいました。しかしそれも、今日のこの日まで。わたくしは、本当にお二方に会えて救われたのです。何度でも言わせてください。本当に、ありがとうございました。真実わたくしを人らしく扱ってくださったのは、あなた方だけでした」
「抹、あの…さ、あたしも、言ってないことあるの。いい?」
「はい?」
あたしは畳に丁寧に揃えられてる抹の手を取った。
抹の手はふるりと震えたが、振り払われることはない。抹もわかってる。今このときが別れだと。共に語れる、最後だと。
「あたし、尼じゃないのよ。前田瑠螺蔚って言うの。一応、前田宗家の一の姫」
「えっ!?…ええっ!?かの、前田家の!?」
「そうなのです〜。嘘じゃないわよ?…でね、抹。あたしと…一緒に来ない?」
あたしは躊躇い躊躇い、言った。躊躇ってる理由は、きっと断られるから。あたしが言ってることは、抹の覚悟と逆行することだから。
抹は驚いた顔であたしを見つめた。見開かれた大きな瞳を、きらき
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