肆ノ巻
御霊
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?」
「えっ!?」
襖を開いた先、ものすごく、間が悪かった。着替え中だったのだ、抹が。しかも、単(下着)を脱いで…え、ちょっと待って!?
あたしは狼藉に襖を閉めて去るどころかそのまま部屋にずずいと押し入った。
「あ、あ、あ、あ、尼君様!?」
「ちょっと、待って、嘘でしょ、抹……」
後退る抹を部屋の隅に追い詰めて、乱れて抹の肩にひっかかってるだけの単に手をかけてバッと一息に剥いた。
「ギャーーーーッ!」
「キャーーーーーーーーッ!」
「おい、なんだ!どうした!!」
「瑠螺蔚さん!?なにかあった!?」
二つの悲鳴に慌てて高彬と惟伎高が駆けつけてきても、そっちなんて気にしちゃいられない。ぶるぶると震える指で、真っ赤になって縮こまってる抹を指差した。
「あんた…あんた…まさか、おと、おと、オトコなの!?」
「叉羅抹という名は真名でございます。正しく、わが父の名付けたものなれば」
抹は三つ指をついて長い間頭を下げたあとにそう言った。
「そこまで疑ってないから」
「なれども、不甲斐なくもことここに至るまで言い出せもせず、このようによくしていただいた尼君様に取り返しのつかない不義理を働いてしまったこと、誠に…」
「あーいーいーいいわよ、何度も謝ってもらった!大丈夫!あたしが落ち込んでんのはね、どーっして見抜けなかったかなー、ってとこなのよ。あんたがどうとかっていうことじゃないから大丈夫。頭あげなさいって」
「はい…」
しっとりと顔をあげた抹は涙の雫を溜めた睫毛すら美しい。あたしは指を顎に当てて至近距離でまじまじと見た。抹は負い目があるからか、いつもみたいに逃げたり止めたりしない。
普段下ろされていた抹の髪の毛は、今日は後頭部でひとつに括られている。袴を履き、腰に差した刀こそないが、それはどこからどうみても、美しい武士の青年だった。兄上のような。不思議と武士の格好をした女と見紛うことはないだろう。
「ふん。どっちも似合うじゃないの。好きな格好すればいいんじゃない?抹は抹、着るものであたしたちの友情はかわったりしない、そうでしょ?」
「はい…!」
「あー先生ぇピィがまた抹サン泣かせてマ〜ス」
「うるさいわよ、外野!てか、あんた…最初から知ってたわね惟伎高!?」
「知ってたってか、わかるだろう」
「わか…わからなかったからこんなこと
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