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レーヴァティン
第百八十話 トランシルバニアへその六

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「ごく少数でもな」
「いたんだな」
「残念ながらな」
「そうだったんだな」
「だがこの世界では違う」
「英雄の奴もそこはしっかしているんだな」
「いいことにな」
 こう久志に述べた。
「そうだ」
「本当にいいことだな、しかし」
「日本にもそうした立場の人達がいたんだな」
「このことは事実だ、西郷さんが知ってだ」
 西郷隆盛、彼は一時期死んだということになってその実は奄美大島に流されていた時期があったのだ。
「激怒した」
「あの人正義感が強かったからな」
「弱い人を見捨てない人だった」
「そこも魅力だったな」
「義侠心に満ちていた」
「それが崔興産の魅力の一つだしな」
 久志もこう言った。
「中々あの人みたいにはなれなくてもな」
「それでもだだな」
「目標にしたいな」
「俺も同じだ、そしてこの人の逸話にある通りにな」
「奄美大島だとか」
「砂糖を無理に作らさせられてな」
「酷使されていたんだな」
 久志は正と話しつつ植民地統治でのプランテーションを思い出した。
「本当に奴隷みたいに」
「そうだった、その暮らしはまさに生きるか死ぬかだった」
「そりゃ西郷さんも怒るな」
「あの人だからこそだな」
「そうだよな」
「そうしてまで砂糖を作っていたが」
「東の浮島じゃそうじゃないな、そして俺達もな」
 久志は自分達のことも話した。
「そうしたことはしていないな」
「てんさいから作ってな」
「帝国全体が大きな利益を得ているな」
「お茶やコーヒーと同じくな」
「そうだよな、やっぱりな」
 久志はさらに言った。
「搾取とかはな」
「お前は嫌いだな」
「国が利益を得るならな」
「民もだな」
「民の暮らしが楽なって豊かになるとな」
「国も富むな」
「そうなるしな、というか俺としてはな」
 その倫理観からだ。
「一部の人間とか国だけが富むとかな」
「そうした考えはないな」
「そういうマルクスがどうこう言う様かな」
 尚久志はマルクス主義は嫌っている、ソ連等の国々がどうなっていたのかを知っているからだ、これは仲間達も全員そうだ。
「そういうのはな」
「嫌いだな」
「ああ、実際にはそんな極端な社会すぐに潰れるけれどな」
「例外なあるけれどね」
 剛はここでこう言った。
「北朝鮮とかね」
「ああ、一人だけ丸々太ってるな」
「将軍様だけね」
「国民全員餓えていてな」
「ガリガリだね」
「ああ、っていうかあの国な」
「共産主義を掲げているよ」
 このことが剛の言いたいことだった。
「そうしているよ」
「そうだよな」
「共産主義でもね」
 その貧富の差を強く否定するシステムの国家でもというのだ。
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