第一話 底のない絶望その五
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登校中にだ。野田の親友である永田喜美がだ。階段の上からだ。
茶色の柔らかそうな髪を肩のところで切り揃えている。肌は白く目は大きく星が多い、その彼女が仁王立ちしてだ。こう言ってきたのだ。
「何でまだ学校に来るのよ」
「えっ・・・・・・」
「あんたみたいなのがどうして素子にコクるの?身の程知らずもいい加減にしなさいよ」
「僕は、その・・・・・・」
「告白したければ痩せなさいよ」
こうだ。彼を見下ろしうつつ言うのである。
「運動もできない、勉強も駄目でね」
「・・・・・・・・・」
「寄らないでよ、臭いから」
喜美は希望を指差しつつだ。居丈高に言い続ける。彼女の周りにはクラスメイトの女子達が何人かいる。その誰もが冷たい嘲笑を彼に向けている。喜美はその彼女達を背にしてだ。
そうしてだ。こう告げるのだった。
「本当によくまだ学校に来られるわね。どういった神経してるのよ」
こんなことも言われたりした。そしてまた下校中にだ。今度は喜美が学校の校門のところに待っていた。そのうえで希望に対してまた陰口を言うのである。
「本当に不細工よね」
「あれで素子ちゃんに告白したのよ」
喜美はだ。下校する希望を指差しつつだ。ここでも嘲笑してだ。
そうしてだ。連れて来た女子達に話していたのだ。
「あんなデブがね」
「身の程を知りなさいってね」
「しかもコクる言葉がなってないわよね」
「軽蔑?っていうか」
「最低よね」
「退学すればいいのに」
こんな嘲笑をかけることもあった。自然にだ。
希望は言葉も笑顔もなくしてだ。常に真人のクラスに行きだ。彼と共にいるようになった。真人はそんな彼を何も言わず笑顔で受け入れてだ。二人でいるのだった。
だがその時もだ。真人のクラスでもだ。彼の背に嘲笑の矢が突き刺さる。
「うちのクラスにしか居場所ないって?」
「友井の傍しか」
「友達あいつしかいないってか」
「どんだけ寂しい奴なんでしょうね」
男も女もだ。彼を嘲笑するのだった。
だが真人だけは別だった。その嘲笑を聞き流してだ。
そうしてだ。希望に言うのだった。
「何時でも来て下さいね」
「いいんだね」
「はい、いいですから」
嘲笑する彼等を見ずにだ。希望に笑顔で言うのだった。
「二人でいましょう」
「そうしていいんだね」
「本当に何時でも」
こう言ってだ。彼を受け入れていた。そんな中でテストが行われた。こうした学園生活ではどうしてもあるそのテストをだ。彼も受けたのだ。一学期の中間テストだ。
だがこうした危機的な状況で満足な成績になる筈もなくだ。彼はだ。
学年で最下位の成績になった。それでだ。
担任の
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