ターン36 家紋町の戦い(後)
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線を送られたことに気づいてみるみる顔が赤くなるが、切迫した叫びの理由を知りたいという気持ちは恥ずかしさを上回った。
『マジェスペクター、マジェスペクター……どどどどうしましょう、もしかしたらちょっと駄目かもわかんないです』
「え、えええっ……!?」
先ほどまでの自信はどこへやら、一転して震えだす気配。嘘偽りのない震え声に、訳も分からないまま竹丸までつられて震えだしてしまう。
あの娘なんか既視感あると思ったらうちのスライムに変なとこ似てたんだね、と画面の向こうで呟かれていることなどお互い知る由もなく、わかっているスライムとわかっていない少女が同じようにデフォルメされたカラスを前にわたわたと混乱する。
そんな絵面を前にしても、男の攻め手は止まらなかった。そもそも、クロウの攻撃力では先ほどセットされたことが見えているグレイドル・アリゲーターの守備力である1500には届かないのだ。
「召喚成功時、マジェスペクター・クロウの効果を発動。デッキからマジェスペクター魔法1枚を手札に加える」
「サーチ効果……な、なら手札から、灰流うららの効果を発動しますっ!このカードを捨てて、その効果は無効です」
『……駄目です!』
停止の声は一歩届かず。場に出た瞬間にアドバンテージを稼ぐシンプルなサーチ効果に対し、室内に舞うは灰色の花吹雪。シンプルゆえに強力な無効効果が、サーチを止める。
だが。出がかりを潰されたはずの男はまるで堪えた風もなく、それどころかその口元に薄い笑みさえ浮かべていた。
「い、いったい……?」
『今のは、私も遅かったですね。相手はマジェスペクター、そして私たちの場には見えているアリゲーター、召喚されたのは攻撃力1000のクロウ……おそらく今のサーチ効果は、ただの誘い水。本命の次を通す前に灰流うららがあなたの手札にないかを探るためのブラフ、です』
「フィールド魔法、マジェスティックP。このカードが存在する限りマジェスペクターの好守は300アップするが、本題はもうひとつの効果だ。1ターンに1度風属性の魔法使い族をリリースすることで、デッキからレベル4以下のマジェスペクターを特殊召喚できる」
『やはり、すでに握っていましたか……』
諦観したようなつぶやきは、少女と画面の向こうの清明にしか届かない。花吹雪を吹き飛ばすかのような風の渦に包まれたクロウの姿が、その中でまったく別の動物へと入れ替わる。渦を突き抜けて飛び出したのは、金の毛並みを持つデフォルメされた狐の姿だった。
マジェスペクター・フォックス 攻1500→1800 守1000→1300
「マジェスペクター・フォックスは、クロウと対となる効果を持つ。デッキよりマジェスペクタートラップ1枚、マジェスペクター・テンペストを手札に。
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