ターン36 家紋町の戦い(後)
[4/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
な場合じゃないですね。話は後です、とにかく勝ちますよ!』
「え、ええと……?」
『サレンダーなんて、する必要はありません!というよりも、私は元々あなたに死相が見えたからマスターさん……あ、遊野清明さんのことですよ、あの人に無理言って一時的にこっちに身を寄せさせてもらったんですから。死亡フラグなんてポイですよポイ、きっぱり勝ちに行きましょう!』
「清明さんに……」
その名前を聞いて、ようやく気持ちが固まった。このグレイドル・スライムを自称する自分にしか聞こえないらしい声からは全く害意を感じなかったというのもあるが、それ以上に成り行きとはいえ自分を救ってくれた清明の名前を出されたことが大きかった。ころころと表情が変わったり突然あちこちを見まわしていた少女に奇行にやや警戒のそぶりを見せていた男に、改めて向き直る。
「サレンダーは、しません。お待たせしました、デュエルを続けてください!」
「警告はした。2度同じことは聞かないから、な」
ハッキリとした返答から気持ちの違いを感じ取ったのか、それ以上は何も聞かずにカードを引く男。八卦のライフが尽きたことで、次のターンプレイヤーに強制的に移り変わったからだ。
「お、竹丸ちゃん、折れなかったか」
1人の人間としては心配げな顔つきではあるが、それでもどこか嬉しそうなのは戦士としての、デュエリストとしてのどうしようもない性か。
「うまいことやってくれたみたいね、よかったよかった」
うんうんと訳知り顔に頷く清明を横目に、祈るような気持ちで画面へと目を戻す。再開したデュエルでは、ちょうど男の引いたカードがドン・サウザンドの契約の効果によって表になったところだった。
「俺のターン。ドローは魔法カード、強欲で金満な壺。メイン1の開始時にこれを発動し、エクストラデッキからランダムに6枚を除外することでカードを2枚引く。このドローはどちらもモンスターカード、マジェスペクター・クロウ及びマジェスペクター・キャット。まずはクロウを通常召喚する」
マジェスペクター・クロウ 攻1000
男が召喚したモンスターはデフォルメチックな姿で描かれた、赤いマントを靡かせる紫のカラス。単純なステータスではグレイドル・アリゲーターに劣る1枚に、竹丸はさらに後続のモンスターを何らかの手段によって展開するのかと警戒する……しかし、グレイドル・スライムの反応は露骨だった。
『うぎゃっ!?』
「ど、どうしたんですか!?」
なんとも形容しがたい悲鳴に肩を震わせ、手札を取り落としそうになる少女。しかし精霊の声が聞こえない男からすれば、おとなしそうな少女が追い詰められて以降突然に相次いで奇行を繰り返しているようにしか見えない。あからさまに引き気味の視
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ