ターン36 家紋町の戦い(後)
[14/14]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
が、当然私もこのストレスは対戦相手のお前に全力で叩き付けさせてもらう。それが嫌ならば、お前も観念することだ」
「そん……な……」
今度こそ気力が限界にきたらしく、その場にどうと崩れ落ちる男。荒れ狂う暴風で文字通り嵐の後のようになった店内を見渡して、鼓がやれやれと息をつく。
「まったく、まだ時差ボケも治りきっていないというのに。巴も人使いが荒い」
「妖怪生意気乳女といい勝負じゃな。まさかこの町から一番近くに住んでいるというだけで、現役を退いて久しいわらわまで駆り出されるとはのう。それでのこのこ出向くあたり、あの狐めのいいように使われておる気もするが」
「私も人のことは言えないな。何のかんの言いつつ、どうせ来ると思ったからこそ奴も私たちに白羽の矢を立てたのだろう」
「とりあえず、この子供らを布団にでも寝かせて、後始末はわらわたちで……おや」
そこで手にしていた扇をぱちりと閉じ、すいと流し目を薄暗い店内の一角に送る笹竜胆。それと同時に鼓も、剣呑な目で同じ方向を凝視していた。
「まだ残党がおったようじゃの。手間がかかるのう」
「なら、私1人で終わらせてもいいんだぞ?」
「嫌じゃ。この前のデュエルフェスティバルでの一戦で、消えかけていたわらわの焔が再び勢いを増してきての。やはり、デュエルはよきものじゃ。おぬしに独り占めはさせぬぞえ」
「そうか」
目だけは真剣なままに緊張感のない会話の後、デュエルディスクを構える2人の女戦士。その後の戦いの行方は、グレイドル・スライムだけが知っている。ほんのわずかな時間ののち、銀色の液体となって音もたてずに扉の隙間から外に抜け、何が起きているのかを伝えるため、そして元の持ち主である清明へと助けを求めるために全速力で海へと這っていったスライムだけが。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ