ターン36 家紋町の戦い(後)
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を失う少女に、スライムが祝福の言葉をかける。当人たちは知る由もないが、祝福ムードは遠く離れた海上プラントでも同じだった。
「よくやった、竹丸ちゃん!」
「おめでとう竹丸ちゃん、スライムもお疲れ様!」
笑顔を交わす糸巻と清明の横で、不測の事態こそあったものの最終的にはどうにか計画通りに事が進んだことにほっと息を吐く巴。清掃ロボの中継カメラを切り、広間の電気を復旧させる。
「さて、これで人質は取れなくなりました。後始末も、少しばかり心当たりを呼んでいます。ああ、『こうなれば仕方がない』。私が実力だけで貴女を倒して見せましょう」
「よく言うぜ、そんなに嬉しそうな顔しやがってよ?だがまあアタシも異論はねえさ、アンタとはどっかで必ず、ガチで殺りあいたかったんだ。そしてアタシが勝つ!」
ついに、因縁の対決に終止符が打たれる時が来た。
だが、本当にこれで本土側での戦いは終わりなのだろうか?予定調和に人質作戦をはねのけてめでたしめでたし、あとは糸巻と巴の最後の一騎打ち……いや、断じてそうはなりえない。この時に巴が犯したのは、普段の彼らしくもないミス。この一連の流れに不測の事態が発生し、第三者の意思が介入している。それが明らかになった時点で、何を差し置いてもまず異分子の正体を突き止めようとしていれば……いや、それでも何も変わらなかったろう。
カードショップ『七宝』では、床に倒れたままの男が途切れ途切れの意識で、なおも通信機に手を伸ばそうとしていた。
「く……まだ、まだだ……!この近くには、まだ『BV』所持者が腐るほどいる、そいつらを呼び寄せれば……」
「そうか。だが、それは無理な相談だな」
「ひどい有様じゃのう。これ鼓よ、こちらは終わらせたぞよ」
「き、貴様らは……!?」
応答はひとつもなく、雑音のみを返す通信機。そして突然の乱入者とその正体に、男の顔が驚愕に歪む。
「デュエルポリスフランス支部長、『錬金武者』の鼓千輪。この近くにいるチンピラどもがこの店を狙っていると匿名の通報があってな。信用するに値しないとデュエルポリス本部は動いてくれなかったから、仕方なくボランティアでフランスから日本にとんぼ返りだ。まったく、巴のやつも随分としゃれた嫌がらせをしてくれるものだ」
「『十六夜の決闘龍会』、笹竜胆千利。わらわはデュエルポリスとは何の関係もないのじゃが、貴女手が空いているでしょうととある狐の奴めに呼びつけられてのう。ま、そちらで倒れておるおなごにはデュエルフェスティバルの借りもあったことじゃしの」
「そういうわけで、この町のチンピラどもは一斉摘発させてもらった。糸巻がさぼり倒してきたツケをなぜか私が払った、ともいえるな。まだやりあうというなら止めはしない
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