ターン36 家紋町の戦い(後)
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ド・メフィスト 攻2800
漆黒のマントに細い体を包み込み、シルクハットをかぶり杖を手にした悪魔。通常構築の【グレイドル】にはまず入らないこの1枚こそ、竹丸の個性であり声なき自己主張でもあった。
彼女は、スライムの言葉通りこの1枚のことを信じて選んだのだから。そしてその効果は、相手ターンのスタンバイフェイズごとに発生する、相手フィールドのカード枚数に応じたバーン能力。
「レベル8のシンクロモンスターに、あえてそのカードを選んだと……?」
「はい。グレイドルの能力が効かない相手がこちらの展開力の低さをついてたくさんのカードを出したところに、このカードの効果を生かす。このまま攻撃はせずに、カードを1枚伏せます」
「だが、まだだ。次のターン、ドローフェイズにモンスター除去の速攻魔法、マジェスペクター・サイクロンを引けさえすれば……」
男の言葉通り、決してまだ終わったわけではない。ドローフェイズに即使える速攻魔法の除去カード、あるいは禁じられた聖杯のような効果無効のカード。引きさえすれば敗北を回避するばかりか逆転勝利もゆうに狙える選択肢は、確かにまだ存在する。
しかしその可能性を、少女は許さない。
「させませんよ。お忘れですか、私のフィールドにはまだ、王家の神殿が残っていることを!今伏せた永続トラップをそのまま発動、魔封じの芳香!」
「魔封じの、芳香……!」
あらゆる魔法カードが、1度場に伏せたうえで次のターンを待たねば発動することができなくなる永続トラップ。環境が変わるたび幾度もメタカードとして注目されてきた古参兵が、ここでもその効力をいかんなく発揮する。
「く……ドロー!」
ドローカードを見る男。そこにあったのはつい先ほどまで彼自身が切望していた1枚、今となっては何の役にも立たない紙切れでしかない1枚。
「マジェスペクター・ストーム……!」
「これが私の、私なりの、攻めのコントロールです。スタンバイフェイズ、ブラッド・メフィストの効果を発動。相手フィールドのカード1枚につき、300のダメージを与えます!」
今の男の場に存在するのはペンデュラムゾーンの2枚にモンスターゾーンの2体、そしてセットされたままのマジェスペクター・スーパーセル。スーパーセルは今からでも発動できるが、永続トラップであるためフィールドのカード枚数を減らす役には立たない。
悪魔が哄笑してその杖を一振りすると、先端についた髑髏の瞳から視界を染める赤い怪光線が放たれた。
男 LP1500→0
「や、やった……!」
『おめでとうございます!あらら、大丈夫ですか?』
自分の勝利がまだ信じられないのか、それとも緊張の糸が切れて力が抜けてしまったのか。呆然とした顔でその場にへたり込み気
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