暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第58話:残された指輪
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 案の定、拮抗は本当に一瞬。障壁には直ぐに罅が入り、アッと思う間もなく砕けて颯人の体は爆炎に包まれた。

「うわぁぁぁぁぁぁっ?!」

 アビスに響く颯人の絶叫。普段滅多に聞くことの出来ない声に、何度も彼に煮え湯を飲まされてきたメデューサは仮面の奥で酔いしれたように笑みを浮かべる。

 颯人の絶叫が聞こえていた時間は短く、直ぐに聞こえなくなるとそれを合図にしたかのように彼の周りを包んでいた炎も鎮火する。着弾地点は大きく抉れ、後には彼の死体すら残っていなかった。

「木端微塵に吹き飛んだか」
「んだよ、つまんねぇの」

 死に顔が拝めなかったことに些か残念そうな顔をするメデューサとヒュドラ。
 と、その時。メデューサの目に何かが放つ光が入ってきた。気になって近付いてみると、そこにあったのは颯人が変身の際に使う指輪、フレイム・ウィザードリングだった。指輪に使われている魔法石が、僅かに残った炎の光を反射したのだ。

「フフ……戦利品として、頂いておこう」

 気分良く颯人のウィザードリングを回収したメデューサ。

 フィーネはそれを見て自身の脅威が一つ減った事に満足そうに笑みを浮かべると、待ちに待ったカ・ディンギル起動の為に動き出すのだった。
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