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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
アスカリの持ちたる国〜ヴァンフリート民主共和国〜(上)
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ん。機雷や電波妨害に不発弾、不安定な動力炉の処置など危険があるが故に我々が専門としてやっているのです」
 船団国家であるアスターテや軍閥連合を抱えていたパーランティア連合国は当然のことながら、その他の構成国でも最低限の航宙戦力は保持している。
 しかしながらその中でもヴァンフリートは鉱工業とその輸出入くらいしかまともな収入源はなく、そしてそれに釣り合わない宙間戦力を保持していた。
 であるならば彼らを働かせるのが国家の権威を示すにもちょうど良い、と誰かが思いついたのがきっかけとなり【航路警備】はヴァンフリートにおける伝統的な収益事業となった。そしてこれに【小惑星鉱業】のノウハウを組み合わせる事で一大事業となったのが――戦場清掃である。

 うまくすればまだ使える部品を売り捌いたり軍の物資の一部を横流ししたり、帝国軍の船であればさらに軍への買い取りなど儲けが見込める。
 だがけして気楽なものではない。それだけであれば競合する者はさらにいるだろうが――そうはならぬからこそ、この国は続いてきたのだ。

 スクラップの裏で休憩している作業員達が囁き交わしている。
「相も変わらず多いな、そろそろ搬入ペースが落ちてもいい頃なのによ」

「酷い戦いだったらしい、コイツがピーピーなると気が滅入るよ‥‥」
 探知機を振りながら相方らしい男が溜息をつく。
「俺も十年この仕事をやってるがこんなに酷いのはめったにねぇよ」

「あぁ、現場の整備部隊も酷かったぜ、機雷で何十隻か沈んだそうだ」
 戦場清掃は戦争に準ずる危険がある、
「第三段の清掃部隊でだろ?クソ、信じられねぇ!」
  鬱々と話している二人の声に気付いた若い大佐が顔をしかめる、がスピーカーを通しては言った報告はこの2人がただの死を看取る人間でない事を暴きたてる。
『お宝を搬入するぞ!手すきの連中は来い!来い!』
 歓声をあげた男達はコーヒーを投げ捨てエアロックから搬入された無事な貨物ブロックへ歓声をあげて駆け寄る。
 似たような男どもを将校達が駆けよって統制しようとしているが焼け石に水だ。
 だが無理もない、そうした品は数割はヴァンフリートのものになり、その幾らかは報奨金として彼らの手元に回るのが慣習だ。
 革命の残滓であり、危険を冒す者達への報酬ではあるが――同盟軍人たちにと手は自分達の亡骸を漁っているようなものだ。
「まるで略奪だ」
 と同盟軍の年若い大佐が小声で吐き捨てる。先程まで好意的だった若手将校達は居心地が悪そうにしていた。

 ウランフは咳払いをし、イロンシは元気が良いのは良い事ですな、とにたりと笑う。

「機雷の処理などは軍でも行っているから現場の苦労はわかる、感謝もしているとも
彼らも生活があるのはみな分かっている」
 えぇまぁ、と若者達
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