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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
アスカリの持ちたる国〜ヴァンフリート民主共和国〜(上)
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 グリーンヒル大将は事務方たちを連れて式典の打ち合わせをしているし、残りの将校は兵やマスコミが余計な事をしないように見張るのに手いっぱいだ。

 わざわざ軍の第三席が訪れたのはヴァンフリート民主共和国はその成り立ち上、銀河連邦臨時政府としての立場を主張しているからだ――とりわけ同盟政府との対立が深まっているときは――それでもおおよそ正規艦隊司令官たる中将がいけば十分、であるのだが。
 この星域に第六次イゼルローン攻略に向けた補給基地を作ったのがまずかった、そのせいでヴァンフリートは戦場となり、更に第六次イゼルローン攻略戦は失敗、そしてそこから続くアスターテ会戦まで旗色がやや悪い決着が相次ぎ、軍とヴァンフリート政府の信頼関係構築を重視したトリューニヒト委員長とシトレ、ロボス両元帥の合意により、本来は艦隊司令官が赴くこの行事にグリーンヒル大将が送り込まれたのである――国防委員を送り込めばよいのでは、という話もあったがそれはこの国の特色上、双方に臨まぬ面倒を呼び起こす可能性がある、という暗黙の了解があるのだ。
 ――閑話休題――

  作業員もそれを監督する技術将校達も皆、オリーブ色の肌をしている。彼らは同盟軍と契約を結び戦場の安全が確保されるとやってくる人民防衛軍の掃宙部隊だ――そして少なからぬものは普段は予備役として無重力地域での資源採掘を行っている。
 ヴァンフリート民主共和国の主要収入は鉱工業と同盟政府からの委託業務だ。
 その中でも特大の利権が――戦場清掃である。宇宙空間における戦場は危険極まりないだけでなく酷く迷惑なものだ。当然である、数万隻単位で会戦を行う戦術要点域(クリティカル・ティレイン)ともなれば航路の要衝に他ならない。
 そこに機雷やら妨害衛星やらやら誘爆した破片やら――軍事とは人類の悪意のぶつけ合いである以上、ばら撒かれる物はそれに準ずるものであるのは当然のことだ。
 であれば迷惑を尻拭いするものが居なければならないのである。とりわけ本土であるとされる地域で戦う防衛戦争であればなおさらに。

「お嫌いですか、提督」
 いわゆる【交戦星域】に所属する諸国家は少なからず国防委員会との委託業務に依存した経済になっている。それを批判するハイネセン主義者は多いが一方で純粋に物流、消費、そして内需の少なからぬ面を駐留部隊や正規艦隊の移動、演習、そして有事の補給が担っているのも事実である。
 しかしその中でも積極的に参加をし公然とそれを伝統的な軍部の優越に利用しているのはヴァンフリート民主共和国だけである。
 それ故に軍部や上流階級の中でも彼らに対する嫌悪をあらわにするものは少なくない。
「必要なのは理解している」
 
「一時期は随分と嫌われたものですが、我が国のしている事は単なるハイエナの真似事ではありませ
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