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ドリトル先生と牛女
第十一幕その九

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「喜んでおられます」
「そうでしょうね」
「はい、妖怪になれてよかったと」
「それは何よりですね」
「そして朝は寝床で」
「夜は墓場で、ですね」
「そうされています」
 そうした生活を過ごしているというのです。
「幸せに」
「では博士にお伝えしてくれますか」
「何とでしょうか」
「僕は博士の本に心から感謝していると」
「私達の診察が出来てですね」
「そして日本ひいては世界の妖怪のことを広く知れたので」
 このこともあってというのです。
「それで、です」
「そうですか、では」
「お伝え願えるでしょうか」
「喜んで」
 牛女さんはここでもにこりと笑って答えました。
「そうさせて頂きます」
「それではお願いします」
「わかりました、ただです」
「ただといいますと」
「先生は日本語がご堪能ですね」
 牛女さんは山菜の天麩羅を食べている先生に言いました、見れば天麩羅は山菜の他には海老や鱚、烏賊もあります。
「お話も」
「はい、実は語学はかなり得意で」
「動物の言葉も理解出来てですね」
「人の言語もです」
 こちらもというのです。
「この通りです」
「日本語もですね」
「読み書きが出来て」
 そうしてというのです。
「喋ることが出来ます、特にです」
「特にといいますと」
「最近日本にいますので」
 だからだというのです。
「頭の中で考える言葉もです」
「日本語ですか」
「そうです」
 まさにというのです。
「そうなっています」
「そうですか」
「はい、そうして」 
 それでもというのです。
「考えています」
「そうですか」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「かなり日本語に馴染んでいます」
「そこまで、ですか」
「最近は」
 今度は蛸の酢のものを食べつつ牛女さんに言いました。
「そうなっています」
「そうですか」
「僕も最近は」
 トミーは山芋のを切って梅であえたものを食べつつ言いました。
「頭の中で考える言葉は日本語です」
「僕もだよ」
 王子は猪の味噌煮込みを食べつつ言いました。
「そうだよ」
「そうなったね」
「母国の言葉と英語を使っていたけれど」
 頭の中の思考に使う言葉はです。
「今じゃね」
「日本語だね」
「そうなっているよ」
「そうしたらだよね」
「何か日本人の考えもわかってきたかな」
「そうだよね」
「言葉って不思議だよね」
 老馬が言ってきました。
「同じことを考えてもそれに使う言語で出す結論が違ったりするんだよね」
「同じ人がそうしてもね」
「そうなるんだよね」 
 オシツオサレツも言います。
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