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夢幻水滸伝
第百六十九話 適時投入その十

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「うち等の勝ちやから」
「そやからな」
「思いきり攻めるで」
「そうするで」
 大蛇も言ってだった。
 八つの頭で次々に炎や吹雪を出して術も放つ、綾乃もそうしてだった。
 敵軍に徹底的に打撃を与えていった、彼女もまた今こそ総攻撃の機と見てそのうえで攻めていった。
 戦局は完全に日本軍のものとなった、アレンカールはその状況を幸田との一騎打ちの中で見て歯噛みした。
「これはね」
「まずいなんてもんやないな」
「こっちの星の子はもういないわ」
「皆一騎打ちに負けたわ」
「そうなって」
 そしてというのだ。
「相手の子は皆健在よ」
「それで攻勢に入ってるから」
「もうどうにもならないわ」
 それこそというのだ。
「それこそね」
「自分が采配を執らんとな」
「この状況は覆せないわ」
「そやな」
「すぐにでもそうしたいわ」
「わしも同じ考えや」
「けどね」
 それでもとだ、アレンカールは前を見た。そのうえであらためて言った。
「そうはいかないわね」
「今はな」
「あたいも一騎打ちをしているからね」
「そやからな」
「ここはまずはね」
「中里の兄さんをどうするかや」
「そういうことよ」
 こうケツアルコアトルに話した。
「今は」
「ほなな」
「ええ、中里ちゃんやっつけるわよ」
「そう言うがこっちも負ける気はないで」
 中里はそのアレンカールに言葉を返した、二人共それぞれの身体のかなりの傷を受けているがしっかりそれぞれの場にいる。
「生憎な」
「そうよね」
「そやから戦局を立て直したいなら」
「あんたを倒してからね」
「そや、ほなええな」
「わかってるわ」
 中里に毅然とした顔で言葉を返した。
「ほなね」
「あらためてな」
「一騎打ちをね」
「やってくか」
「このままね」
 こう言ってだった。
 アレンカールは右手を思い切り前に振ってそうして衝撃波を出した、それで中里に対して攻撃を仕掛ける。
 続いて左手からも繰り出す、中里はその衝撃波をかわしつつ言った。
「遠距離攻撃も出来るな」
「こうしてね」
「見事な攻撃や」
「褒めてくれるのかしら」
「ああ、味方やったらな」
 中里は自分も千鳥と童子切から攻撃を放つ、それぞれ雷と鎌ィ足を放ってそれでアレンカールの衝撃波に対する。
 相手の攻撃を相殺しつつ彼は言った。
「これ以上はないまでにや」
「頼もしいかしら」
「そう思うわ」
 こう言うのだった。
「僕も」
「それを言ったらあたいもよ」
「僕が味方やったらか」
「本当に頼もしいわ」
 攻撃を続けつつ笑って述べた。
「そう思うわ」
「そやねんな」
「ええ、ただね」
「ああ、今は敵同士や」
「そやからね」
 だからだというのだ。
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