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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第80話 あの人からのお招き3/3
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 勇美と豊姫を招いての八雲一家の食事にて。紫は渾身のボケを勇美に突っ込んでもらえなかった為に場の空気が微妙になってしまった。そこへ藍が助け舟を出す。
「この食事は紫様と一緒に作ったのだよ。久しぶりですよ紫様。あなたが一緒に食事を作ってくれるなんて事」
 そう、紫が藍を従者にしてからというもの、彼女は自炊する事は殆どなくなり、藍任せになっていたのである。
 それが、今回は藍と一緒に食事を作ったのである。それが意味する所は、他でもない勇美をもてなすには自分が作らなければ失礼に値すると考えての事だった。
 人間社会には客をもてなす際でも料理を他人任せにする人は少なくないのだが、紫は違ったのだ。
 それは人間と妖怪の違いという概念もあるだろう。しかし、紫の場合は少し話が違ってくるのである。
 その話は後に分かるとして、今はこの懐かしい食卓にて皆は話に華を咲かせるのだった。
 豊姫は、依姫に負担を掛けさせていないか等と、対して紫の方は霊夢は相変わらず修行を怠っている等というそれぞれの身内の話が主な内容となっていた。
 そうして一頻り話が盛り上がっている所で、勇美はこのように切り出したのである。
「紫さん、この場でこのような話をするのも気が引けるのですが、今しか聞いておけないのでいいですか?」
「何かしら?」
 言う勇美に対して、首を傾げながらも彼女に先を促す紫。だが、それはあくまで外面でのやり取りなのであった。
 紫は力の付けた大妖怪故に、僅かながら相手の心を読み取る術を身につけているのだ。さとり妖怪のような明確な読心術ではないものの、ある程度なら相手の考えの方向性は肌で感じる事が出来るのである。
 それでも紫は勇美がこれから言う言葉を、直接受け止めようと思うのだった。その事は紫が勇美を信頼しているが故と言えるだろう。
「紫さんは、どうしてヒーローに仕立てあげるのに相応しいのが依姫さんだって考えたのですか?」
 それが勇美が前々から聞きたかった事なのであった。
 確かに月の民は地上を差別している者が多い。だが、みんながみんなそのような者達ではないのである。
 故に、依姫以外にも月のリーダーに留めるのに相応しい者はいる筈だ。その中で敢えて彼女を選んだのには何か理由がある筈だと勇美は踏んでいたのだった。
 その言葉を紫は暫し無言で受け止めていたが、やがて口を開いた。
「……勇美さん、やっぱりあなたは目の付け所が違うわね……」
 紫はそうしんみりとした口調で呟いていた。その様子だと何やら訳があるようだ。
 その事を紫は語り始めるのだった。
「……依姫、あの人はね。昔の私に似ている所があるの。それが理由だから、言ってしまえば私の我がままで選んだって事ね」
「昔の紫さん……?」
 その言葉に勇美は、昔の彼女は一体どんな人だったのだ
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