第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第80話 あの人からのお招き3/3
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つか弾幕ごっこで勝負したいわね」
それが今豊姫が思う事なのであった。紫に信頼されているからこそ切にそう望むのである。
あの侵略の時は豊姫は弾幕ごっこを知らなかったが故に、それによる勝負は行われていないのだ。
だが、後に依姫から教えられ、何より勇美と紫の絆を生み出した弾幕ごっこを自分もしたいと考えているのだった。
そうなれば、未だ二人の間にあるわだかまりも解消されるのではと想いを馳せるのが豊姫なのである。
その考えは紫とて同じだったようだ。なので、紫はこう答えた。
「ええ、楽しみにしているわ」
「こちらこそ。今から弾幕ごっこの練習をしておくから、首を洗って待ってなさい」
「私は弾幕ごっこならそう簡単に負けはしませんよ」
そう言って二人は微笑み合った。どうやら彼女達の関係は雪解けの兆しが見えてきたようだ。
そんな二人の様子を微笑ましく思いながらも、勇美は次の話は自分の番だと、ある一大決心をして口を開いた。
「あの……紫さん……」
「何かしら?」
勇美に言われて首を傾げる紫であったが、それは八雲紫というもの、次に勇美が出す答えは粗方感じていた事なのだった。
「紫さん、私の帰る場所を幻想郷にして下さい」
「……」
勇美に言われて紫は無言になるも、それは予想していた事なので一切動じはしなかった。
勇美は続ける。
「そもそも私を幻想郷に連れ込んだのは紫さんでしょう?」
「ええ、そうよ」
紫はその質問に、極めてあっさりと答えて見せたのである。
それは、勇美の言う通りだったからだ。一先ず勇美を幻想郷に住まわせ、気に入れば永住させ、気に入らないようであれば再び外界に送り返す予定だったのだ。
それが遠音ランティスに操られてゴタゴタしていた為に紫の勇美に対する手解きが棚上げされてしまっていたという訳である。
その事情を踏まえて、紫は次の言葉を選んだのだ。
「……ごめんね勇美さん、今までほったらかしにしてしまいまして……」
「いいえ、紫さんは悪くないんですから、謝らないで下さい」
謝罪という普段のスキマ妖怪八雲紫という存在からは考えられない発言に対しても、勇美は極めて穏和な態度で接する。
しかし、実際は紫の行為が遠音ランティスを生むに至った事には変わりはない為、彼女は全く自分は悪くないとは思えないでいた。
だが勇美の気遣いが嬉しくて、次にこう言うのだった。
「勇美さん、ありがとう」
そう言って紫はとびきりの笑みを勇美に見せたのだ。それは普段の胡散臭いものとは違う、格別な一品であった。
「お礼を言うのは私の方ですよ。紫さんなら出来ますよね? 記憶の境界を操って私をあの母親の娘ではなく、元から幻想郷の一員であったとする事を」
「ええ」
紫は滞りなく勇美に対して返答するも、その内容には
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