第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第80話 あの人からのお招き3/3
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行をしていた事である。
そして、その生物は確かにこう言葉を発したのだ。『うまそうな人間の女だな』と。
その時彼女は絶望感を味わった。目の前の生き物は、正におとぎ話に出てくるような『人食い妖怪』のそれだと。
当然彼女はその場から逃げようとした。だが、もう手遅れだったのだ。
何と、今目の前にいるような『人狼』が更に二匹、三匹と茂みの中から現れたのだから。
しかも、それは彼女を取り囲むようにあらゆる方向から現れたのであった。
──絶体絶命。正にその言葉は今の彼女を現す為に存在しているかのようであった。
一体どこで私は間違ったのか。その答えは明白であった。……他でもない、自分が相方がいないのに勝手に行動してしまったから以外の何物でもなかったのである。
非は完全に自分にある。だが、それを素直に認めて運命だと受け入れるような潔さは彼女にはなかった。まだまだ彼女は生きて色々な事を楽しみたいのだから。
しかし、その願いが儚く散りそうなのは彼女は分かっていたのだった。彼等がその人間とは比べ物にならない脚力で持って瞬時に飛び掛かってきたからである。
その映画のワンシーンのような事態を彼女の脳は完全には認識出来なかったが、これだけは分かるのであった。
──私はもう、これまでなんだ……と。
そう彼女が覚悟した時、向こうの方からこんな声が聞こえたのである。
「くっ、この距離からじゃ今から助けに行っても間に合わない……」
そう悔しそうな声を出す主の姿を彼女は一瞬だが見た。
その容姿は全身黒の服装で、更にはこれまた黒の外套を見に纏っていた。
その格好をしているのが14歳位の少女だったので少し大人ぶったような愛らしさが感じられる。
顔立ちもその外見相応で可愛らしく、鮮やかな赤の神をストレートのロングヘアーにしている所がその存在の可憐さを引き立てていた。
だが、咄嗟に見た彼女が一番目を引いたのはこれであった。
「角……?」
彼女がそう呟く通りの物がその存在の頭には備わっていたのである。
その赤髪の頭部の両脇に一本ずつ、計二本の角が生えていたのだ。
だが大きさ自体は小さめで、髪型次第ではすっぽりと隠れてしまいそうな位である。
しかし、大きさは問題ではなかった。そのような物が備わっている事そのものが目を引く光景なのだ。
『鬼』……そう認識するしか彼女には選択肢はなかったようだ。
そう思いながら彼女は口を開いていた。
「あなたは一体……?」
しかし、その存在は質問に答える事なく、代わりにこう言った。
「仕方ない、こうなったら『これ』を使うしかないか……」
そう意味ありげな事を言ったその少女は、おもむろに両手を眼前に向けたのだ。そして、その先には彼女がいたのである。
「一体何を……?」
彼
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