第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第80話 あの人からのお招き3/3
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ろうと想いを馳せる。だが、次に言う紫の発言は勇美の予想の斜め上を行くものであった。
「勇美さんと豊姫には言ってもいいかも知れないわね」
ここで紫は一呼吸置いたのである。いつも飄々とした態度の彼女がこうして神妙な振る舞いをするのだ。余程の事があるのだろう。
「紫さん?」
「いいわ、話しましょう」
どうやら紫は腹を括ったようである。意を決して彼女は語り始める。
「私はね、元々人間なのよ……」
「!」
ここに驚きの発言がなされたのである。これにより豊姫は多少意表を突かれたようであった。
だが、勇美の方は至って落ち着いていたのだった。自分でも不思議な位冷静であるが、その理由は勇美はちゃんと分かっていたのである。
「勇美さん、驚かないのね……」
「はい、何となくそんな気がしていましたから……」
その勇美の言葉に嘘偽りはなく、本当にそういう予感をしていたのである。
「紫さんの境界の中で見たあの光景が、あなたの人間の頃の記憶なんですね?」
「ええ、全くを以てその通りよ」
動じない態度の勇美に、紫はただただ感心するだけであった。
そんな中で紫は更に話を進めていく。
「それも、ただの人間ではないわ。未来からやって来た未来人という訳よ」
その事を紫は説明していった。何でも、元の時代で彼女はこの世の秘密を暴くという活動をしていたのだ。そして、彼女には境界を『見る』力があったのである。
そんな彼女は様々な現象へと足を踏み入れていたのだったが、ある時一際大きい境界を見つけたのだった。
その事は今までにない規模だったのだ。
そして、人間の時の彼女は落ち着いた振る舞いとは対照的に、内面は好奇心旺盛で度胸が座っている性格であった。だが、その時にはそれが災いする事となってしまったのである。
まず、彼女の相方は時間にルーズなのであった。故にその時彼女は一人で待っていて退屈をしていたのである。
それが彼女にさせてはいけない事をさせてしまったのだ。彼女は様々な現象へ足を突っ込むのは危険が伴うが故に、行動はいつも相方と二人で行うという取り決めをしていた事をこの時失念していたのであった。
彼女はあろう事かその境界に一人で手を伸ばしてしまったのである。まずくなったらすぐに戻ってくればいいと思いながら。
そして彼女は境界の中へと入り込んだのだった。
◇ ◇ ◇
境界の中は森の中であった。その事で彼女は大した事はないと思って高を括ってしまったのである。
取り敢えず、この場所を探索してみようと思った彼女は、境界の場所を覚えておくと適当に辺りを歩き始めた。
特に目を見張る事は起きる様子はない、もう帰ろうと思った所で彼女の前に現れる存在があった。
それは狼のようであった。だが、問題はその狼が人間のように二足歩
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