第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第79話 あの人からのお招き2/3
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「ありがとうね」
「ありがとうございます藍さん」
「それじゃあ私は夕食の準備に取りかかるから、何かあったら遠慮なく呼んでくれ」
言って藍は客人をもてなす為の準備へと舞い戻っていった。
そして、身内である豊姫と再び二人っきりになった勇美は思いっきり息を吐いた。
「はぁ〜〜〜っ、やっぱりお泊まりの時って気を遣ってしまいますよねぇ〜」
「ええ、その勇美の気持ちは分かるわ。私も子供の頃はそういう経験をしたものね」
「えっ、豊姫さんって名家ですよね? それでそういう経験ってあったんですか?」
勇美はその事実に驚いて聞いていた。
「まあ、内のしきたりはそんなに厳格じゃなかったからね。庶民の者の家に泊まらせてもらうって事も出来たって訳ね」
「成る程〜」
その事に感心しながら勇美は今の空気が一際心躍るものだと噛み締めていた。
自宅以外の場所で部屋にありつけてからの見知った者とのおしゃべり。この瞬間に何か心洗われるものがあると勇美は思うのである。
そして、勇美は部屋の辺りを見回す。飾り気はないが素朴でシックな造りの良い部屋だと改めて感じたのだ。夜の帳が降り掛けた外の眺めもその旨みを引き立てているのだった。
勇美はその喜びを噛み締めつつ、夕食の時まで豊姫と談笑を交わして時を過ごしていったのである。
そうこうしている内に、食欲をそそる匂いが勇美の鼻孔をくすぐるのだった。
「あ、いい匂い……」
勇美は呟くと共に、彼女の意思に反してぐぅ〜っという音を出してしまった。そう、所謂腹の虫である。
「あ、これは失敬……」
思わず勇美は顔を赤くして豊姫に弁明した。だが、豊姫はそんな勇美を咎める事もなくこう言った。
「ううん、気にする事はないわよ、何たって自然の摂理ですものね。それに、私だってもうお腹がペコペコだからね」
桃以外でここまで美味しそうと私に思わせるのは久しぶりだと、豊姫は意気揚々と語った。
だが、この匂いを嗅がされる事態が続けば二人は蛇の生殺し状態となってしまうだろう。そうなる前に彼女達の前に助け船が差し出されるのだった。
彼女達のいる部屋の外で足音が聞こえ、それが二人の元に近づいてきたのだった。いよいよであろう。
そして、襖が開けられ声が掛かって来たのだ。
「待たせたな二人とも。夕食の時間だぞ」
「「待ってましたぁ〜」」
その瞬間、はしたなく二人はそうのたまったのである。そして、見事にその声は調和していたのだった。
そのようなはしたない振る舞いを見せながら二人は藍に案内されるままに居間へと向かうのだった。
◇ ◇ ◇
そして、とうとう二人は夕食の用意された居間へと辿り着いたのである。食事のそのいい匂いは現場に来た事で更に増し、二人の食欲は最高潮へと昇らされる。
「さあ、お二
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