第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第79話 あの人からのお招き2/3
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相を見た勇美は、こう感想を述べる。
「あれ……、失礼な事言うかも知れませんけど思っていたのと違って、普通の民家って感じですね。紫さん程の大妖怪ならもっと豪華な住まいに住んでいると思ったんですけどね」
「それは人間と妖怪の感性の違いというものよ。勇美ちゃんは現代で育った人間だからその感覚は疎いのだと思うけど」
「……確かにそうかも知れませんね」
豊姫のその指摘に、勇美は今度は自分が勉強になった番だと素直に感心した。
「まあ、その事についてはまた今度話しましょう。さあ、今は私達を招待してくれた彼女達を待たせてはいけないわ」
「そうですね」
豊姫にそう窘められて勇美は納得し、いよいよ八雲家への訪問に胸を踊らせるのだった。
◇ ◇ ◇
「そろそろかしらね」
「ごめんくださーい」
紫がそう独りごちている所に、来客の声が聞こえて来たのである。正に噂をすれば何とやらであった。
「来たわね、では参りましょうか」
「はい」
紫は自分の従者の藍にもそう促した。そして、今回は彼女はスキマを使っての出迎えはしなかったのである。
ものぐさな紫である。普段の彼女なら悪びれもせずに来客の際でも遠慮なくスキマで出迎えている事だろう。
だが、今回は違ったのだ。自分と絆の生まれた者に対してそのような態度では、さすがの紫とて失礼に当たると心得ているのだ。
対して、八雲家の玄関の前で声を出して挨拶をした勇美はやや緊張気味だった。呼び掛けはしたが、本当にここに自分が来ていいものかと後ろめたさをどことなく感じていたのである。
そんな必要以上に気を張っている勇美を、豊姫は窘める。
「勇美ちゃん、リラックスよ……って、これじゃあ面接の時みたいね」
「えっ、月にも面接はあるんですか?」
「それは勿論、月にも仕事はあるからね。でも地上のそれとは違って、履歴書と受け答えで採用を判断したりはしないけれどね」
月の技術は地上より遙かに進んでいるのだ。だから、面接では上っ面だけでの人材の選考はせずに、その人の能力を見越してでの採用する術が確立されているのである。
「そうなんですか〜、興味深いですね」
「純粋な能力で選ばれるから、どうしてこんな人が選ばれたって事にはならないからいいわね。それと、それだけの軽口が叩けるならもう問題はないよね?」
「あっ……はい」
いつの間にか豊姫のペースに乗せられ、気付けば必要以上の緊張感はなくなっていた。
やはり、この人は物事を巧みに運ぶ才能というものがあるようだ。かつて永琳が依姫と別行動させて紫を罠に掛ける手筈を任せたのも頷けるというものである。
だが、今はその罠に掛けた紫その人からの招待が掛かっているのだ。何とも奇妙な巡り合わせである。
そして、客人をいつまでも待たせていては失礼千万というも
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