第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第79話 あの人からのお招き2/3
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「でも、これからちゃんと体は洗うんだぞ」
「は〜い」
藍の指摘に、橙は素直な対応をするのだった。そして、主の言い付け通りに体を洗う為に風呂場へ行こうとした時にふと気付くのだった。
「そうだ、藍さま」
「どうした?」
突然橙に話を振られて、藍は首を傾げる。
「そういえば、迷い家に『お客さん』の気配がありましたよ」
「来たわね……」
それを待ちわびていたのだと、間に入るように紫が言った。
「それじゃあ橙、早くお風呂を済ませるんだぞ。お客さんの失礼にならないためにな」
「はい、藍さま」
その藍の指示に嫌な顔せずに、橙は元気よく浴室へと赴くのだった。
◇ ◇ ◇
勇美と豊姫は、歩いてはいけない場所『迷い家』へと辿り着いていた。それも豊姫の能力を使えば朝飯前というものであった。
それはさておき、やはり勇美はこの場の光景に感銘を受けていたのだった。
「うわあ〜、のどかでいい所〜、夕日の当たり具合も素敵だし♪」
そのような勇美に、豊姫はこんな質問をする。
「勇美ちゃん、外の世界ではこういう所、珍しいの?」
「ええ、山奥とか島に行けばまだこういう所はあるみたいですけど、都心じゃもう中々お目に掛けられませんよ」
「そうなんだ、参考になるわ」
そう豊姫は勇美の話に素直に感心の意を見せる。それは寿命のない永遠の時を生きる月の民は不変故、地上の民のような目まぐるしい発展とは無縁にあるために興味深い話だからである。
そして、勇美のその話を豊姫は深く心に留めておこうと思うのだった。それが月と地上の距離を縮める為に必要不可欠だと考えるからであった。
そのような想いを馳せつつ、豊姫は勇美を先導する。
「勇美、貴重な話をありがとうね」
「いえ、お役に立てたら幸いです」
「それじゃあ、この話はこれまでにして、私達はこれから行く所を目指そうね」
「はい」
ここに話は決まったようであった。二人は自分達を招待してくれた八雲紫の家へ行く事に意識を向けるのだった。
ふと、ここで勇美は思った事を口にする。
「それで豊姫さん。まさかとは思いますけど、紫さん家がどこか分からないなんて事はありませんよね」
「もしそうだったらお互いに困るでしょ……」
その瞬間何とも言えない微妙な空気が辺りを支配したのであった。
「大丈夫よ。彼女の妖気を目指していけばいいだけよ。何たって一個体の妖怪なのだからね」
「それは良かったです」
豊姫に言われて安堵するとともに、どこかコント的な意味での美味しさを逃してしまっている事にやるせなさを感じる勇美であった。
その豊姫の言葉通り、彼女は迷う事なく迷い家を進んでいったのだった。迷い家なのに迷わないとは些か珍妙ではあるが。
そして、一行は八雲家へと辿り着いていたのだった。その様
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