第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第78話 あの人からのお招き1/3
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マワリが如くであった。
「それじゃあ豊姫さん、今度そのケープの中から二の腕をぷにぷにしたり、腋をペロペロさせてくれますか?」
うわぁ……。そう豊姫は思わずにはいられなかった。ここまでハメを外した物言いをこの子はするのかと。
だが、勇美が今回の異変の解決に多大な労力をそうした事、それに加えて彼女の親が成長の過程で甘える事を許さなかった存在である事も踏まえて、豊姫は答えを出すのだった。
「ええ、勇美の気の済むまで好きにしていいわよ」
「やったあ!!」
その一言を受けて、勇美はここ一番で大っぴらに体でその喜びをあらわにするのだった。
「でも……」
「何ですかぁ? 豊姫さんに二言はない筈ですよぉ?」
これまた犬のようにハアハア言いながら勇美は豊姫に迫った。その態度は勿論、掲げる理屈も支離滅裂なものとなっていた。
「まあ、勇美ちゃん。少し落ち着きなさい」
言って豊姫は勇美のさらさらの髪を優しく撫でたのである。その撫で心地に撫でられている勇美のみならず、撫でている豊姫も気持ち良くなっていた。
だが、これだけは言っておかなければいけない。しかし、それにしてもこの髪は上質である。今度一緒にお風呂に入って髪を洗ってあげようかと豊姫は思ったりしていた。
「勇美ちゃん……」
「はい」
「腋ペロペロは勘弁してね。ベタベタになっちゃうから」
「分かりました」
さらっと言う豊姫に、勇美はもっともだと思い素直に言葉を返すのだった。
でも、やっぱり惜しい。何故なら腋には様々な希望が詰まっているからだ。
そんな勇美の切望が滲み出ていたのだろう。豊姫は次にこう言った。
「腋ペロペロ以外なら、好きにしていいからね♪」
「うわぁい♪」
その言葉は勇美にとって実に甘美なものであったのだった。まるで、この世を支配している何かの片鱗を得たかのような悦びがそこには存在した。
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