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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第78話 あの人からのお招き1/3
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事が喜ばしかった訳である。
「そうだったんですか……」
 霊夢の考えを聞いて理解した勇美はそう相槌を打った。そして、そのやり方はもっともだろうと彼女は思うのであった。
 勇美は依姫の事を進んで求めているが、それは彼女が自ら望んでいった道なのだから。
 対して霊夢が彼女と対峙したのは、霊夢にとって予期せぬ事態だったのである。いくら類いまれな勘の持ち主である霊夢とて、これは自分の意識になかった事であろう。
 つまり、鈴仙と同じように霊夢と自分では依姫との関わる経緯が違うのである。その事を忘れてはいけないだろうと勇美は心に決めるのだった。
 そう思っている勇美に対して、霊夢は解散の挨拶を続けていった。
「それじゃあね、勇美。お陰で有意義な時間を過ごせたわ」
「霊夢さんのお役に立てたようで光栄です」
 そう言い合って二人は互いに笑みを見せ合ったのである。
 そして、いよいよ二人は茶屋を後にするだけであった。
 だが、物事というのは最後まで油断しないで向き合わなければいけないものである事がこの後証明される。
「ちなみに、今回のは割り勘だからね」
「ぐはぁ……」
 てっきり霊夢のおごりだと思っていた勇美は面食らってしまった。
 だが、心のどこかで納得もしていたのである。──あの霊夢さんがおごりなんてある訳があって堪らないよねと。
 対して霊夢は今までにない位に充実した表情を浮かべていたのだった。

◇ ◇ ◇

 そして霊夢と解散した勇美は暫しの間、残りの時間を過ごしたのである。そして時は経ち、約束の時間が到来しようとしていたのだ。
 今は太陽が地平線へ沈み始め、辺りが橙色の芸術へと染められようとしている、黄昏時であった。
 首を長くして永遠亭の自室で勇美はその時を待っていたのだった。そして、そんな勇美に対して、これまた待ちわびていた人物から声が掛かったのだ。
「勇美ちゃん、準備は出来た?」
「はい、バッチリです」
 そう呼び掛けてくる豊姫に勇美はしっかりと答えるのだった。
 そう、今回勇美をエスコートしてくれるのは綿月豊姫その人なのである。
 それには理由があった。今回勇美が赴こうとしている場所は、普通に歩いていけるような所ではないのだ。
 だから、豊姫の反則染みた瞬間移動のような手段を用いないとそこにはいけないのであった。
 まあ、それでなくても勇美は空を飛べないが故に、彼女が行きたい場所を目指すなら豊姫に頼るのが一番なのであるが。
 その事に勇美はとても感謝しているのだ。彼女の力により、例えば天界のような人間の足では到底辿り着けない場所へと赴く事が出来たからだ。
 そして今回も、新たに絆の生まれたかけがえのない者の所へと足を踏み入れる事が出来るのだ。
 だから、勇美は豊姫には感謝してもしきれない位のも
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