第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第77話 『あの人』参加の会議、そして……
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「ところで勇美ちゃん、あなたも『会議』に出るの? 無理強いはしないけど」
そう永琳は勇美の去り際に彼女に対して呼び掛けて来たのだった。
そして、その言葉は勇美が少なからず予想していたものであったのだ。だから彼女は前もって心に決めていた事を口にする。
「ええ、もちろん出席しますよ。私では力不足な所もあると思いますが、私自身が出たいと思うからです」
それが勇美の思う所なのであった。幻想郷の住人としての義務という以上に、勇美自身の責任感と意欲が彼女にそうさせるのだった。
「そう言ってもらえると私としても嬉しいわね」
温かい笑みを携えながら永琳は言いながら、最後にこう付け加えたのだ。
「勇美ちゃんがそうしてくれるとみんなも喜ぶわ。何たってあなたはもう立派な幻想郷の一員なんだからね」
その一言に勇美はハッとなってしまった。そして、後から遅れてじわじわと嬉しさが込み上げてくるのだった。
今のこの自分が幻想郷の一員として認められている、こんな嬉しい事があるだろうかと。
だから、勇美は彼女にとって精一杯の気持ちを込めて永琳に返すのだった。
「はいっ!」
◇ ◇ ◇
そして、永遠亭の会議室で会議が行われていたのだった。
その面子は以前に紫捜索の会議をした時の者達が多く集まっていた。永遠亭の重役の面々に、紫の従者の八雲藍もこの場には出席していた。
だが、完全に以前と同じ面子という訳ではなかった。
まず、今回の異変では月を巻き込みかけたので、侵入者に立ち向かう役職にある玉兎達がいる事である。この場ではレイセンとして出席しているイシンを含めて七羽のあの面々である。
会議という小難しい事なので、彼女達には理解出来ない内容の方が多いだろう。
しかし、豊姫のサポートがあったものの、彼女達は曲がりなりにも元凶たる遠音ランティスに挑んだ者達なのである。故に、この会議に出席する意味はあろうというものなのだ。
次に驚くべき事は、前回出席していなかった永遠亭の主たる蓬莱山輝夜がこの場にいるという事であろう。
前回の場合は紫の事には興味がないという理由を盾に、要は面倒臭いからという本音の元出席しなかったのだ。
だが、今回の異変は月と地上を巻き込みかねなかった大事なのである。故に今回ばかりは面倒だからと出ない訳にはいかないと考えたのだ。
今は離反したもののかつての故郷である月と、今の大事な住まいである幻想郷の存在する地上。これらの事実があるから輝夜は最早他人事だとは思えなくなったのである。誰だって以前に住んでいた場所や、今の生活の場を脅かされたら素知らぬ顔は出来ないというものだろう。
そして、今回の一番の注目すべき存在。それはこの場に事の重要な関係者──いや、話の中心人物とはっきり言った方がいいだろう──八雲紫が
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