第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第77話 『あの人』参加の会議、そして……
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その紫の言葉に嘘偽りはなく、心からこの会を楽しんでくれているようであった。
「紫さま〜、この人が勇美さんですか〜?」
そう横から話し掛けてきたのは、緑の帽子に猫又の証たる猫耳と二股に分かれた尻尾、そして名前の通りに橙色のベストを身に纏う猫少女。
この少女は紛れもなく、紫らの家族の一員である橙であった。
「紫さん、橙ちゃんも連れて来たんですか?」
「ええ、私がいなかったから暫く一緒にいられなかったからね、そのお詫びにこういう所に連れて来ようと思ったのよ」
「いい心掛けですね、橙ちゃんも喜んでいるでしょう」
「ああ、とても楽しそうにしているぞ。なあ橙?」
そう言う藍の表情はものの見事に緩んでいた。その瞬間勇美は全てを察した。──この人が一番橙ちゃんを連れて来る事を勧めたんだと。
その様子は正に子煩悩、またの名を親バカというものなのだろうと勇美は思うのだった。
だが、それはそれで勇美は橙にも挨拶をしておこうと思った。自分と絆が生まれた者の従者の従者なのだから、きちんと関係を持っておかなければならないというものだ。
「はじめまして橙ちゃん、私の事知っているの?」
「勇美さん、それはもう幻想郷であなたは有名人だよ♪」
そう言われて、勇美は満更でもない気持ちとなった。自分も有名になったものだと感慨深くなるのだった。
だが、そんな味わいは直後に打ち砕かれる事となる。
「噂通りお胸が小さいんですね。私よりも小さいから励みになりますよ♪」
「ぐはぁ……」
その一言に口から何かを吐き出しそうな精神的ダメージを負ってしまう勇美だった。
ダメージにより朦朧とする意識の中で勇美は思った。──子供って正直なんだなぁ……と。その事により、脳内を引っ掻き回されるような複雑な気持ちとなった。
だが、ここ最近で精神的成長を遂げた勇美はすぐに立ち直るのだった。ちなみに胸の事は『希望はあるさ』と楽観的な気持ちで乗り切ったのだ。
そんな彼女を見ながら紫は微笑ましい心持ちとなると同時に、ある事を思い付いたのだった。いや、その事は今まで考えていた事だったのだが、今この場でそれを実行するに値すると紫は踏んだのだった。
「ところで勇美さん、あなたにはここで言っておきたい事があるわ」
「何ですか、紫さん?」
精神的ダメージからも見事に回復していた勇美は、紫にそう言われて何事だろうと首を傾げた。
「あなたには、今度──」
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