第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第77話 『あの人』参加の会議、そして……
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たようだ。豪華な飾り付けに、豪勢な料理の数々が用意されていったのだ。
そして今、全ての手筈は完了していたのだった。
今や永遠亭の食堂は派手に彩られた中で、幻想郷の有権者達が多く集まっていた。
そんな光景を前にして、勇美は多少尻込みしそうになる。だが、ここは踏ん張り所だと自分に言い聞かせて奮起して言葉を発した。──それもこの大勢の前で壇上に立って。
「この度は八雲紫さんの帰還を祝う会に参加して下さり、ありがとうございました。それでは、この会を心ゆくまでお楽しみ下さい!」
そう勇美が言い切った後、威勢のいい歓声がどっと溢れたのだった。その瞬間、勇美はうまくやり切れたと安堵した。
この会は勇美が提案したからに他ならないからである。幻想郷での宴会は博麗神社で行うというのが謎の不文律であるが、今回永遠亭で行って欲しいと勇美が進言したのだ。
その理由は、紫と月の重役との間にかつていざこざがあったからである。それが今回の異変を解決するに辺り、多少解消される方向へと進んだのだ。
その好機を勇美は逃す手はないと思ったのだった。こうして紫を元月の住人達が造り上げた永遠亭に招待する事で、うまく打ち解ける機会を生み出そうと彼女は考えたのだった。
もちろん勇美はでしゃばった真似かとも思った訳であるし、第一紫が承諾してくれる可能性は低いとも考えたのである。
だが、思いの他紫は快く勇美の進言に承諾してくれたのだった。
それは、紫自身わだかまりが解けたら月の者達とうまくやっていきたいと切望していた事が第一なのだ。
だが、それに加えて、紫と勇美が弾幕ごっこを行った事で互いに絆のようなものが生まれていたのも一因だろう。そんな『仲間』の切実な申し出を、紫は無碍には出来ないと考えたのだった。
それらの思いの渦巻く中で、勇美は無事に自ら買って出た開示の言葉の役を見事にこなしたという事であった。
後は、ここに集まった者達と共にこの会を楽しむだけである。
勇美は、喉を潤す極上の料理を口にしながら、今までの幻想郷で見知った顔ぶれ達と楽しく話しに華を咲かせていったのだった。
まさに憩いの一時であった。だが、そんな中で彼女は一番忘れてはいけない存在をちゃんと認識していたのである。
彼女は一頻り幻想郷の住人と楽しんだ後、目的の『一家』へと足を運んでいった。
そして、彼女は迷う事なく歩を進めていった。目印は一際目立つ金色のモフモフであった。藍さんはこういう時いい目印になるなと心の中で多少失礼な事を思いながら。
そうして勇美は無事に八雲一家の元へと辿り着いていたのだった。そして、彼女は名前の通り紫が基調の服の女性に話掛けた。
「どうですか、紫さん。永遠亭の会は気に入って頂けましたか?」
「ええ、粋な計らいを考えてくれましたね、勇美さん」
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