第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第77話 『あの人』参加の会議、そして……
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いるという事であった。
確かに今回の異変は、裏で紫を操っていた遠音ランティスが首謀者なのである。だが、紫が全くの無関係である事は断じてないのだ。
不本意ながら異変を起こさせられてしまった紫だが、その事に対してけじめをつけるべく今回の会議に出席したという事である。彼女は普段胡散臭い振る舞いをするが、責任感というものは極めて高いのだ。
そして、これらの面々で会議は滞りなく行われていった。
その内容は、まず紫が第二次月面戦争を起こした真の理由であった。
この綿月姉妹をヒーローたらしめるために異変を起こした事は、本来なら月の重役に知れては意味がないだろう。
だが、今この永遠亭の会議に出席している者達は、皆紫の真意に対して理解を示しているのであった。だから、彼女らには話しても問題ないというものなのだ。
次に、話題にあげなくてはいけないのが、何といっても遠音ランティスの件だろう。彼女には裏から様々な工作を仕掛けられたのだから。
そして、今話はその事についてだった。
◇ ◇ ◇
「遠音ランティス、このような者の誕生は今後あってはならないわね」
そう言うのは依姫であった。この場で一番真面目であり、一番良識人と言える彼女ならではの発言だろう。
彼女の性格上、物事の上っ面だけではなく、その根本の所まで考えなければ気が済まないのである。
だから、『今回ランティスを倒せて良かったね』ではなく、今回のような事が二度となくすべく考えているのだった。
それには、依姫自身の正義の他に、勇美にあれだけ危害を加えた存在が再び現れる等、言語道断だと思っての事だった。
本来このような場に私情は持ち込んではいけない事は依姫にも分かっている。だが、個人的感情を置いて勇美の事をないがしろにする等とは彼女には出来なかったのだ。
それは、非情になり切る事が出来ない依姫の短所でもあり、また長所でもある。
しかし、依姫の場合どちらかと言えば長所として働く事が多く、それを重要視する者が多いというのも事実だった。
でなければ、永琳はレイセン時代のイシンを依姫と豊姫の所に紹介してはいないし、極め付きは紫が彼女らを未来永刧月のリーダーに留まらせて幻想郷の安泰を図ろうとはしないだろう。
そのような人柄だからこそ依姫は、今回元凶を倒した事で万々歳として片付けようとは思わなかったのだ。
遠音ランティスは紫が地上と月を境界で繋いだ事により生まれた存在なのを依姫は忘れていなかったである。もし紫が再び月へ赴く事があれば、またあの災厄の権化が生み出されてしまいかねないのだから。
当然、紫も依姫が言いたいその事実を重く認識しているのだ。だから、彼女はこう言った。
「ええ、分かっていますわ。私はスキマの力ではもう二度と月へは赴きませんわ。もう目的は
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