第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第76話 その後……
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「う……ん」
少女はけだるい唸り声をあげながら、その意識を覚醒していった。どうやら眠りの世界から現への世界へと舞い戻ろうとしているようだ。
そして、やや寝惚け眼の状態で布団からその身を這い出させた。今でもその布団は恋しいが、そこから抜け出さなければ始まらないだろうから。
三大欲求の一つ、睡眠欲へ誘う、布団からの誘惑を断ち切った少女は、寝巻きの襦袢姿のまま朝日を存分にその身に浴びて頭の中にスイッチを入れたのだ。
その少女の名前は黒銀勇美。そして、彼女が目を覚ましたのは幻想郷に存在する永遠亭の一室に貸し与えられた自室なのだった。
そう、彼女が永遠亭の家族の一員となってから大分経つのだ。その事に周りも、勇美自身も最早違和感は感じていないのである。
陽の光を浴びて頭がスッキリと覚醒し、一日の始まりを心地よく切り出した彼女は、手早く普段着へと着替える。
ちなみに、彼女は寝る時は襦袢の下は完全な素肌なので、着替えは手早く行わなければならない。
これは、着物だからそうしなさいと誰かに言われたからではなく、完全に彼女のポリシーなのである。この方が体を圧迫するものが存在せずに快適な眠りを満喫出来るとか、着物なら西洋の下着は着けないのが当然とかいう、彼女が自ら進んで行っている事であった。
更に言えば、別に周りから寝巻きに襦袢を身に付けるように強要されてはいないのである。
確かに永遠亭の文化は和風に近いものがあるが、だからと言ってその主である蓬莱山輝夜も八意永琳も和装を強要などはしていないのだ。
永遠亭には和装の服は多いものの、全く洋服が存在しない訳ではないし、頼めばいくらでも購入してくれるのだ。ましてやここは永琳の天才的医療技術により収入は幻想郷でも指折りなのだから。
詰まる所は、れっきとした勇美の要望であり、その事を永遠亭の住人は皆理解してくれているという事であった。
その事を背景に持ちながら、勇美は普段着へと着替えていった。そう、彼女が幻想郷に来てからの基本スタイルである、黒が基調のスカートのようなミニ丈の和服であった。
この香霖堂で購入した風変わりな服装も勇美のポリシーの一つである。そして、幻想郷で彼女が生きる証であると考えているのだ。
そして、今の服は彼女が今でも普遍的に敬愛する綿月依姫と共に選んだ物なのだ。だから、この服には彼女の様々な想いが詰まっているのである。
勇美はその想いの詰まった服へと着替え終わったようだ。その今の自分の様相を確かめるべく、彼女は自分の部屋の鏡の前へとたった。
そこには小柄ながらも、独特の服装に身を包む少女がそこにはいたのだった。ミニ丈の和服の裾から覗く脚線が今の自分に出来るせめてものお色気のアピールである。
「よしっ♪」
そう一声あげて、勇美は意気込んだのである。それ
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