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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第76話 その後……
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 それは、彼女が医者であるからに他ならなかった。いくら依姫が神の力で勇美に治療を施したとはいえ、医療に携わる者として勇美を診て安心をしておかなければ気が済まないのが医者というものだからだ。
 勇美もそんな永琳の気持ちを察して、彼女の診察を受ける事に承諾したのだった。何より、勇美自身永琳程の卓越した医療能力を持つ者に診てもらって安心したいという気持ちもあったのである。
「本当ですか、良かったです!」
 そして、永琳から自分無事な事を宣言された事で喜びの言葉を勇美は口にするのだった。
「ええ、問題ないわ。勇美ちゃんは健康そのものよ」
 その言葉は永琳の喜びを素直に現したものであった。しかし、その一方で彼女はどこか複雑な心境となっていた。
 その理由は伊豆能売の力で勇美の受けたダメージが完治してしまっていたという事である。医療以外の方法で傷を癒やす事が出来てしまった、その事に医者たる永琳はどこかやるせない気持ちとなるのだった。
 だが、医者の一番の喜びは診る人間の健康な姿に他ならないのだ。だから、永琳は勇美の元気な姿に微笑ましくなるのである。
 その事を噛み締めながら、永琳は勇美にこう言うのだった。
「もう全く問題はないみたいね。でも、しばらくは私の所にちょくちょく診断を受けに来てくれると嬉しいな」
 それは医者の執念とでもいうべき事だろう。診察者の健康な暮らしを抜かりなく見ていきたい。医者とはそのような信念を持っているのだから。
「はい、もちろんです」
 勇美も永琳の申し出に全く嫌な顔をせずに承諾するのだった。彼女も永琳が自分の事を気遣ってくれているからこそ言うのが分かるからである。
 取り敢えず、今日の所はこれにて診察はお終いであろう。だが、勇美は何か思う所があって永琳に言い始めたのである。
「あの、八意先生……」
「何かしら?」
 診察は済んだ筈なのに勇美は何の用があるのだろうと、永琳は首を傾げながら返した。
「こんな事八意先生に言うのも何ですけど……」
「いいわ、遠慮しないでどんどん言いなさい」
 どこかしどろもどろになる勇美に対して、永琳は優しい振る舞いでそう促した。
「あの、私の胸って大きくなるのでしょうか?」
「はえっ!?」
 突拍子もない勇美の相談事に、さすがの永琳も思わず素っ頓狂な声で返してしまうのだった。
「勇美ちゃん、それで言いどもっていたの?」
 そう突っ込みを入れるように言う永琳は、笑いを堪えるのに必死な様相である。それに対して、当然勇美は面白くない訳で。
「八意先生、何も笑う事はないじゃないですか〜!」
 勇美はぷっくりと頬を膨らませながら、そう永琳に抗議する。
「ごめんごめん」
 そんな勇美に対して永琳は素直に謝る。ただし、笑いを堪える姿勢は変わらずの状態であるが。
「ご
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