第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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これは勇美の知恵の勝利である。機械クラゲの猛攻は相棒のブラックカイザーに任せ、自分はその司令官たる紫の首を直接かっ切る作戦に踏み切ったという事である。見事な連携作業と言えよう。
「発射!!」
そして、迷う事なく勇美の渾身の砲撃が紫目掛けて放出されたのだ。轟々と凄まじい音を出しながら光のエネルギーは彼女目掛けて襲いかかっていったのだった。
これで、敵の親玉を倒して勇美の勝利になるかと思われた。だが、妖怪の賢者たる紫はそう簡単に白星を提供してくれる生易しい存在ではなかったのだ。
彼女に光の奔流が命中し、激しい爆発と激震が辺りを支配した。その状態が長く続いた後、漸く周囲の光景が見えてきた。
「!!」
その瞬間、勇美は息を詰まらせてしまうかと思う程驚いてしまったのだった。
幾重にも重なったバリアーに護られる形で、紫には傷一つ付いてはいなかったのである。
「間に合ったわ。【境符「四重結界」】……」
紫は勇美の一撃を防いだ技の名前を口にした。
「結界。霊夢が使っていたでしょう。あれは私が教えたのよ」
そう言って紫はどこか得意気になりながら感慨深い表情を見せる。
「……どうりで頑丈な訳ですね」
勇美は皮肉交じりにそう感想を述べる。そして納得するのだった。
何故なら勇美も霊夢の戦いを見る機会があったからである。そして地上で依姫と接戦したのは今でも鮮明に覚えている。
これは謂わば師弟の絆とでも言えるだろうか。紫だけではない、紫と霊夢との繋がりの存在するスペルなのであった。
と、ここで勇美はその顔に笑みを讃え始めた。
「……? 何がおかしいの?」
「いえ、紫さんと霊夢さんって、いい師匠と弟子みたいな関係なんだなって」
そうのたまい、勇美は続ける。
「まるで私と依姫さんの関係みたいだって、そう思ったんですよ」
「そう……、それは素晴らしいわ」
勇美の主張に、紫は決して嫌味ではないその感想を述べたのであった。そういった関係の大切さは、彼女とてよく分かるからだ。
そう互いに通じるものを感じ合った二人であるが、ここで勇美は新たな発言をする。
「それでは『二つ目』ですよ」
そう言いながら、勇美は次なるスペルカードを懐を出しながら続ける。
「私はその依姫さんと神様の助けを受けて、ずっとマッくんと二人で戦ってきたって事ですよ」
言い切ると勇美はそのスペルの宣言をする。
「ブラックカイザー……マッくん。あなただけに任せっきりにはしないよ。【輝符「開闢の神剣」】!!」
その宣言後、辺りに激しい光の爆ぜが巻き起こり、魔物も怯んだようでその猛攻を一瞬止めてしまった。
その好機を逃さない形で、先程勇美が顕現した太陽の大鏡から再び光の波動が放出されたのだ。
だが、今度はそれは紫に向かう事はなかった
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