第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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たら口だけですわよ」
「分かっていますって♪」
紫の挑発染みた言い分にも、勇美は得意気に返して見せるのだった。
それにはさすがの紫も、些かカチンとくるものがあったようだ。
「その威勢、いつまで続くかしら? 最凶の魔物よ、遠慮はいらないわ!」
言って紫は、今度は扇子を高らかに頭上に掲げて見せたのだ。その先程とは違う指示の仕方に、これが彼女の本気が込められているかのようであった。
それに続いて、最凶の魔物は先とは違った機械の咆哮をみせたのだ。それはまるで、ドラゴンのようなファンタジーの産物の怪物が猛々しく雄叫びをあげているかのようだった。
そして、とうとう魔物の猛攻が始まったのだ。再び彼は触手をブラックカイザー目掛けて突き付けていったのだが、問題はその数であった。一気に10本位の触手を同時に向かわせたのであった。
当然だろう。クラゲの姿を模している以上、その触手は何10本と存在するのだ。それらの数は決して飾りではないのだから。
窮地に立たされたように見えるブラックカイザー。だが、彼はそれらの猛攻に対してどっしりと構えていた。
そして、無数の触手の凶刃は纏めて彼に向かっていった。
そして、万事休すかと思われた瞬間、ブラックカイザーに動きがあったのだった。
なんと、彼は目にも止まらぬ剣捌きで迫り来る触手を次々と切り落としていったのである。それは、彼自身が機械だから当然なのだが、精密にコントロールされたマシーンそのものといった様相であった。
敵の猛攻にも怯まずに勇敢に立ち向かう騎士。その姿は正に勇者そのものだった。
だが、そうしていつまでも攻防を繰り広げては埒が明かないというものである。その事を紫は指摘する。
「素晴らしいわ。でも、このまま続けては先が見えないのではないかしら?」
「ええ、私もそう思います」
紫の意見に勇美も同意するのであった。だが、彼女には考えがあるのだ。
「でも、紫さんは二つの事を忘れていますよ」
「?」
その勇美の物言いに、紫は訝しげに眉を潜めた。一体それは何なのかと。
それに答えるべく、勇美は次なる手を打つ。
「まず一つ目ですが、私は神降ろしの力を同時に三柱まで借りれるのですよ」
実は今勇美が力を借りているのは、僅か祇園様の一柱なのである。その一柱だけでここまで戦えてきたのは、まさに跳流からの餞別を使用したブラックカイザーの賜物と言えよう。
そこに、勇美は新たなる神の力を追加しようというのだ。
「『アメノウズメ』に『石凝姥命』よ」
そうして勇美は追加で二柱の神に呼び掛けたのである。そう、この組み合わせは……。
「【陽符「ラーズミラー」】!!」
そう、勇美の切り札たる太陽の鏡の顕現であった。そして、荘厳な大鏡は狙いを寸分違わずに紫に向けられていたのだった
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