第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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うと、手に持った扇子を勇美の方向へと向けたのだ。
「やりなさい、『最凶の魔物』よ!」
そう、意味深な発言をすると、辺りの様子がにわかに変化が見られた。
まず、空気の流れが変わったのだ。それに勇美が身構えると同時に、今度は激しい地響きが周囲を包み込んだのだ。
「っ!」
それには勇美は驚き、どうすべきか思考を巡らす。そして、名案が浮かんだのである。
「そうだ、ブラックカイザー。こんな事してもらうのも何だけど、頼むね!」
そう勇美に言われたブラックカイザーは手に持った大刀を背中に背負い、両手が空いた状態になった。
すると、おもむろに彼は勇美を軽々と抱きかかえて見せたのだった。
そう、勇美がとった名案は、屈強な体躯を持つブラックカイザーに自らの身を支えてもらい地響きから逃れるというものであったのだ。
「あらまあ、やりますわね……」
「ええ、お姫様抱っこなんて柄じゃないんですけど、今は四の五の言っていられませんからね」
騎士に抱きかかえられるミニ丈の着物の姫君然となってしまった勇美と、それを茶化すように言う紫。
紫は微笑ましい光景だと、何だか素敵な気分となりつつも、ここで当の勇美に釘を刺しておく。
「名案ですけど、まさか、地響きを起こす事が目的だとは思っていませんわよね?」
「ええ、もちろん。これはあくまで一時しのぎですから気にしないで下さい」
紫の辛口の忠告に、勇美も饒舌な口調で返した。
二人がそのようなやり取りをしている間にも、地響きの先にある本命の存在が顔を見せようとしていた。
刹那、勇美の眼前の地面に一気にヒビが入り、そしてそれを突き破って巨大な何者かがその姿を見せたのだった。
それはクラゲのように傘から無数の触手が生えている存在である。そのクラゲを模したかのような機械仕掛けの魔物であった。
だが、特筆すべきはその大きさであろう。軽く8メートルはあり、勇美位の大きさの者なら軽く踏みつぶしてしまわんばかりの体躯なのだ。
「!!」
それには当然勇美は驚愕してしまった。このような強力な隠し玉を紫は持っていたのかと。
「驚いたようね。でも、強い機械の相棒を使えるのは自分だけとは思わない事ですわ」
「……善処します」
紫の皮肉めいた口調に、勇美は苦虫を噛みつぶしたように返す。だが、落ち込んだ様子はなく、キッと紫と、その魔物を強い眼差しで見据えた。
「戦意は失っていないみたいで何よりですわ。では、最凶の魔物よ──やりなさい!」
紫がそう言うと、その機械仕掛けの巨大クラゲは機械によって作られた鳴き声をあげると、自慢の触手の一本を勇美目掛けて振りかざしたのだった。
「迎え打って、ブラックカイザー!」
その攻撃に臆する事なく、勇美は的確に相棒に迎撃命令を下した。
すると、ブラックカイ
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