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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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クスを引き起こされ、歴史を改変されて滅びの道を辿った末路そのものであると言えよう。
 だが、勇美には腑に落ちない事があったのだ。それを彼女は口にする。
「でも、紫さん。何でこれを私に見せるのですか?」
 それはもっともな意見であろう。今の光景と勇美にはどういった関係があるというのだろうか?
 その答えを紫は淡々と語っていった。
「それは……他でもない、あなたの相棒の『マックス』そのものよ」
「マッくんがどうかしたの?」
 予想していなかった紫の答えに、勇美は頭に疑問符を浮かべながら聞き返した。
「あなた……気付かないかしら? あなたのその相棒が異質な所……」
「あっ……」
 紫に言われて勇美はハッとして声を漏らしてしまった。今まで普通に使っていた力であるが、思い当たる節が多すぎたのである。
 まず、人間が機械を生成、変型させる事が出来るような力は幻想郷を探しても極めて異質な能力と言えるものであった。
 ましてや勇美は外来人なのである。その特異性は極めて大きいだろう。
 続いて、依姫が神降ろしの力を貸して勇美の力の動力源と出来た事も異例の事なのだ。本来依姫の神降ろしは彼女本人にのみ力を貸すものである。その力を勇美が使えてしまうというのも普通なら有り得ないだろう。
 勿論、幻想郷は全てを受け入れ、あらゆる情事をありのままに受け止める懐の広い存在である。その事は紫が一番知っている事実なのだ。
 しかし、今こうして紫は勇美の力に注意を促したのだ。それだけ勇美のそれは異質なものといえるだろう。
「……」
 紫に言われて、勇美は暫しの間無言となって考えていた。そんな彼女を見届けながら紫は続ける。
「あなたの力の特異性に気付いたようね」
「はい……」
 そのように勇美は自分の特異性を自覚した旨を紫との返答で伝えるのだった。
 だが、彼女の瞳には強い意志が宿っていたのである。そして、その心を言葉にする。
「私が異質なのはよく分かりました。下手をしたら今の映像のような未来を生み出しかねない事も。
 でも、今まで私が得て来たかけがいのないものは決して忌まわしいものではなかった。それだけは言えると思います」
 そう勇美は彼女が今想う事を打ち明けたのだった。それに対して紫は満足気な表情の微笑みをたたえて勇美を見据えながら言う。
「……あなたのその折れない心意気、見事ですわ」
「それは光栄です。そして私が培ってきた色々なものに応える為に──この勝負には勝たせてもらいますよ」
「いい心構えね」
 勇美とのそのやり取りに満足した紫は、おもむろに懐から扇子を取り出した。だが、今回はいつものように口元を覆う事はしなかったのだった。
「でも、心構えだけでは勝てない事を思い知らせてあげますわ!」
 いつになく力の籠もった口調で紫はそう言
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